旅立ちの日…

  • 2018.09.16 Sunday
  • 07:54

 

 

1990年頃にウィーンでに出会い、わが家の一員となりました。

その後あまり弾かれることはなかったものの、いつもさりげなくそばにいてくれた

「シュトライヒャー」というピアノが、とうとうヨメに行きました。

1843年にウィーンで作られた楽器で、このブログでも何回か登場しています。

 

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嫁ぎ先のダンナさんは私も良く知っている名チェンバリストで、

これ以上はない、良き縁組みとなりました!

これからは楽器として実際に弾かれる機会が増えることは確実で、

ピアノ自身も喜んでいるに違いありません。

 

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嫁入り前の最終調整。

 

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いよいよ、荷造り。

 

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入念に梱包されます。

 

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スタジオからの旅立ち…。

 

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自宅横の坂道を下り…

 

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トラックに積み込まれました。

 

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空きスペースが寂しく、うつろです…。

 

ところで、この9月にワルシャワで

 

第1回ショパン国際ピリオド楽器コンクール

 

が初めて開催され、日本人の川口成彦さんが堂々の2位に入賞したのです!

ショパン時代の楽器を使ってショパン作品の演奏を競う、というものですが、

シュトライヒャーもそんな楽器のひとつ。

実際に体験してみると

 

この曲はこんな響きだったのか!

 

という驚きがいっぱいです。

 

NHKもドキュメンタリーの収録に行っていた、という話もあり、

ということは、日本でピリオド楽器のブームが巻き起こるかも。

 

この楽器を「売ろう」と決心した2年前にそんな気配はなかったのですが、

もしかすると世の中の風向きが変わるかも知れません。

 

そんな時にこの楽器を手放してしまうことが、果たして正解だったのか??

 

──わかりません。

でも、自分自身はやはりモダンピアノの方が好きです。

…というところで、さりげなく宣伝を。

 

2019年(来年です)10月19日(土)の午後、東京は上野の文化会館小ホールで

久しぶりのきちんとした東京公演を行うことが決定しました。

ハイドンとシューベルトを弾きます。

地味なプログラムですが、心をこめて演奏します!

 

それはさておき、これからのピアノ界、どうなるのでしょうね。

 

 

 

 

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こりゃ無理か…

  • 2017.12.28 Thursday
  • 14:41

 

 

年の瀬です。

年末になると、やはり物事に区切りをつけたくなります。

部屋の掃除もそのひとつ。

 

しか〜し…

 

仕事場である自宅スタジオの片付けは無理そうな雲行きです。

実はピアノの大修理が進行中。

今までだましだまし使っていたベーゼンドルファーを

バリバリの現役として復帰させることにしたのです。

 

ずっと愛用していたスタインウェイのピアノを京都に嫁入りさせたことは

今年5月29日のブログ「ピアノの嫁入り」で報告しました。

 

その代役をしばし担っていたベーゼンドルファーですが、

音色は麗しいものの、メカニックが万全ではなかったのです。

 

メインとなる作業は以下の通り。

 

・ハンマー交換・再調整

 

hammmer.jpg maintenance.jpg

ハンマーの接着には膠(にかわ)を使います。その後アクションの再調整。

 

・チューニングピン交換と弦の張り替え

 

tuningpin.jpg strings.jpg

チューニングピンにチョークの粉をまぶしてドリルでねじ込みます。すごい騒音…。

 

・ダンパーフェルト更新

 

Damper-cut.jpg Damper.jpg

使い込まれた自作の工具。白いのはダンパー用のフェルトです。食べ物ではありません

 

まさに発音に関わる心臓部の交換です。

鍵盤の象牙の貼り替えは数年前にやってあります。

 

studio.jpg

そんなわけで、レッスン時には電子ピアノを使っていますが、やっぱり不自由です…。

 

これだけの大仕事を通いの作業でお願いできるのはほかでもない、

私が全幅の信頼を置いてピアノのお世話を委ねている照沼純氏です。

昨年1月23日のブログ「大修理」をご覧下さい。

このブログにも登場した私の教え子、松田ゆかりさんは

この当時まだ技術者としてはひよっこでしたが、その後大きく成長し(体重は変わりません)、

今回の作業ではお手伝いとして参加してもらいました。

松田さんの希有なキャリアに関しても、このブログで再チェックして下さい!

 

ところで、このベーゼンドルファー、

正真正銘のベーゼンドルファーであることは120%確実なのですが、モデル名が不明です。

製作年も不明。通常は響板の中央に刻印されている番号が見当たらないのです。

フレームにも何もありません。

内部に打たれている番号は作業番号なので解明の役に立ちません。

でも、これとまったく同じモデルを見たこともあるし、何らかの情報は存在するはず。

特徴をリストアップしてウィーンの本社に問い合わせてみようと思っています。

 

1月初旬には修理完了します。

どんな楽器になるか、楽しみだなあ!

 

 

 

 

骨董ピアノ

  • 2017.10.26 Thursday
  • 08:13

 

 

わが家に年代物のピアノがあることは、前回のブログ

 

ピリオド楽器によるショパンコンクール

 

で触れた通りですが、その素性をご紹介しましょう。

 

Streicher1.jpg Streicher2.jpg

この写真は5月のブログにも掲載しました。

 

ヨハン・バプティスト・シュトライヒャーというウィーンのピアノ製造者が

1843年に作製した楽器です。

シュトライヒャーという人名が、そのままメーカー名として使われています。

日本の会社でもそんな例がよくありますね。

 

emblem.jpg

細部まで手作りです。

 

シュトライヒャー家は代々ピアノの製造にかかわってきました。

ヨハン・バプティストの母親ナネッテもピアノを弾き、作り、

ベートーヴェンの良き擁護者でもありました。

ナネッテの父親、ヨハン・アンドレアス・シュタインが作ったピアノは

あのモーツァルトも絶賛した、優れた楽器でした。

 

ナネッテはヨハン・アンドレアス・シュトライヒャーと結婚したことで、

名字が変わったのです。

ナネッテの夫はもともと音楽の先生でしたが、

先生稼業をあきらめて会社経営に邁進しました。

息子のヨハン・バプティストも共同経営者となり、

会社は全盛期を迎えたのでした。

 

そんな頃に完成した楽器です。

 

ウィーンのピアノ製造の伝統はこの後ベーゼンドルファーへと受け継がれ、現在に至ります。

ですから、シュトライヒャーの歴史はピアノ発展の歴史そのものとも言えるでしょう。

 

モーツァルト時代のピアノはまだ繊細で、音量も今ひとつでした。

それがみるみる変化し、音域も広く、音量もパワフルな楽器となりました。

その背景には、ピアノの心臓部であるアクション構造の大転換があったのです。

 

モーツァルト時代のピアノには「ウィーン式アクション」というものが使われていました。

シュトライヒャー製のピアノにも当初はこのアクションが使われていたのですが、

後になって「イギリス式アクション」という新型モデルに移行しました。

 

action1.jpg

現在調整中。

 

拙宅の楽器に装備されているのは、イギリス式アクションです。

ただここに、私自身のオーナーとしてのジレンマがあるのです。

 

人は古いものに、より大きな価値を感じます。

それはそれでよくわかります。

 

電気機関車より蒸気機関車、CDプレイヤーより蓄音機。

だからピアノも、より古いウィーン式アクションのものばかりが寵愛されて

イギリス式アクション、それも初期のものは

 

ふ〜ん…

 

で終わってしまうことがほとんどです。

残念だなあ…。もっと感激してほしいなあ!

 

action2.jpg

イギリス式のアクションです。どこが? って感じでしょうか…。

 

でも考えてみてください。

ものが変化していく背景には、

 

それが必要だった

その方が有利だった

 

という要因が必ず隠されていると思うのです。

 

シュトライヒャーも、イギリス式アクションの方が優れていると信じたからこそ、

それまでの伝統とは違う設計の楽器を作り始めたのでしょう。

 

そして、それは正しい判断でした。

現代のグランドピアノでは、例外なくイギリス式アクションが使われているのですから。

 

わが家のシュトライヒャーを弾いていると

 

ああ、世のピアノがイギリス式アクションに移行していったのは

当然のなりゆきだったのだな

 

と感じます。

コントロールしやすいし、音量も、音質も安定しています。

 

hammerkopf.jpg

ハンマーヘッドは革で作られています。

 

1843年といえばシューマンやショパンの時代です。

ブラームスやリストも同じです。

試しにシューマンの曲を弾いてみました。

1833年〜38年に作曲されたというソナタ第2番(ト短調)の第2楽章です。

→真夏に自撮りしたもので、頭がサマーカットです。びっくりしないで下さい。

 

クリックして下さい!

 

そんなわけで、この時代のこの様式のピアノには、逆に希少価値があるのかも知れません。

コレクターに興味を持たれなかったため、オリジナル楽器そのものもあまり残っていません。

楽器の特性に関する情報も、とても潤沢とは言えません。

 

そのうちお披露目の会でもやろうかな、と考えているところです。

 

 

 

 

 

もうひとつの国際ショパンコンペティション

  • 2017.09.25 Monday
  • 20:09

 

 

「ピアノの詩人」として愛されている作曲家、

フレデリック・ショパンの命日である10月17日の前後3週間を使って、

ショパンの故郷ポーランドの首都ワルシャワでは5年に一度、

 

フレデリック・ショパン国際ピアノコンペティション

 

が開催されます。

 

 

前回(第17回)は2015年でした。

第1位の栄冠に輝いたのは韓国のチョ・ソンジン。

 

すでにドイチェ・グラモフォンからCDデビュー!(画像、お借りしました)

 

日本人も健闘したものの、残念ながら入賞には届きませんでした。

 

 

ショパンのデスマスクと左手のブロンズ。繊細な指です。死因は肺結核と言われています

膵嚢胞線維症(嚢胞性線維症)という新説もありますが…。

 

このコンペでの入賞にはものすごい価値があります。

他にもいくつか同じようなレベルの国際コンペが存在しますが、

ショパンコンペも最高峰のコンペティションのひとつなのは確実です。

ここで1位になったら

 

プロのピアニストとして国際的な活動が保証された

 

と思って間違いありません。

 

このコンペティションで使われる楽器は、もちろん現代の楽器です。

表だっては報道されませんが、ピアノメーカーにとっては

 

わが社の楽器を使ってもらえるか

 

という「陰のコンペティション」でもあるのです。

 

そんな中、まったく新しいコンセプトのショパンコンペティションが

ワルシャワで立ち上げられることになりました。いわく

 

ピリオド楽器による国際ショパンコンペティション

 

第1回目の開催です。

「ピリオド楽器」とは、いわゆる「古楽器」のことです。

「古楽器」と表現すると骨董品っぽい感じを持たれてしまうため、

「時代」をあらわす「ピリオド」という単語の使用が一般的になりました。

「ヒストリカル・ピアノ」という言い方もOKです。

 

ショパン時代の楽器を演奏して行われるコンペティション、というわけ。

ショパンが耳にしていたのと同じ音で勝負するのです。

 

詳細は以下を参照してください。残念ながらまだ日本語版はありませんが、

そのうち親切な誰かが準備してくれるでしょう。

このバナー(↓)をクリックしてください。

 

 

ざっと概要だけ列記しておきます。

 

・開催されるのは2018年9月2日〜14日

・申込期限:2018年5月1日

・年齢制限:18〜35歳

1位の賞金:1万5千ユーロ

 

2位以下の賞金の額やレパートリー、審査員などに関しては

ウェブサイトを解読してください。そんなに難解な英語ではありません。

ページの左側に各項目へのナビゲーションリンクが準備されています。

 

申し込みに当たってはピリオド楽器での演奏動画が必要になります。

その際に指定されている楽器は

 

1860年までのエラールまたはプレイエルのピアノ

またはショパン存命中(1810年〜1849年)のウィーン式ピアノ(コピー楽器も可)

 

というのですが、何と、拙宅のウィーン製シュトライヒャーは1843年製なのです。

「ショパン存命中」という条件に合致します。

ただ、アクションがイギリス式なので、そこが問題。

 

Streicher1.jpg

拙宅のピアノです。

 

日本国内に演奏可能な楽器がそうたくさんあるとは思えず、

拙宅の楽器でデモ動画を収録した場合もエントリー可能かどうか

コンペティション事務局に問い合わせることになりました。

 

さて、どうなるか。

わが家のシュトライヒャーの詳細については、次回くわしく紹介することにいたしましょう。

 

 

 

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ピアノの嫁入り

  • 2017.05.29 Monday
  • 13:45

 

 

 

2月22日のブログでぶちかました

 

ピアノ売ります

 

には、すぐさま反応がありました。

しかし、値段もそれなりの案件だったので「即日即決」とはならず、

お問い合わせいただいた順番を尊重しながら、いくつかの交渉を経た末に…

 

決まりました! ヽ(´ー`)ノ

 

京都に嫁入り(婿入り?)することになったのです。

場所は京都御所のすぐ近く。近隣に相国寺(しょうこくじ)もあります。

 

kyotogosho.jpg

御所への門の一つ。歴史を感じます。

 

syokokuji.jpg

有名な「鳴き龍」が天井に書かれている相国寺。

 

鴨川もすぐ近くを流れているので、散策に最適です。

 

このピアノを受け入れるために新しくスタジオが新設される運びとなり、

大切に使っていただけることになりました。

 

kyotostudio.jpg

新しいスタジオのエントランスはこちら。

 

スタジオの名は

 

ピアノサロン ミューズの微笑み

 

私も時々会いにいけるので、嬉しいです。

 

entrance.jpg

 

晴れてニューオーナーが決まるまでの顚末はこちらをご覧下さい。

 

「直感」でスタジオ創設?

 

スタジオの名称に関しても、こんなストーリーがあったそうです。

 

ピアノサロン「ミューズの微笑み」名前の由来

 

そして、すでに商標登録の出願も完了したとのこと!

ただし登録完了までは半年ぐらいかかるらしいです…。

 

いただいた大切なお名前だからこそ

 

くだんの楽器は5月28日に搬入され、翌29日の午前中に搬入調律完了。

今までこのピアノのお守り役だった名調律師の照沼氏がたまたま関西出張中だったので

新しい環境に合わせた調律と最終調整をお願いし、

万全の状態で楽器を引き渡すことができました。

 

withSakata.jpg

新しいオーナーの坂田さんと

 

私もたまたま28日まで関西で仕事だったので、立ち会いました。

楽器の特性や、今まで施された修理の詳細も、きちんと次の調律師に伝えてあります。

これからたくさんの方々に愛され、新しい歴史を刻んでくれることと思います。

 

搬入当日の様子は坂田さんのブログをご覧下さい。

 

ピアノ搬入・調律の記

 

拙宅のスタジオで今までスタインウェイが占めていた場所には、

カヤニカまま所有のベーゼンドルファーが鎮座しています。

 

2pianos.jpg

左側のピアノがベーゼンドルファーです。古いモデルなので2本ペダル。

 

製品番号がわからないのではっきりしたことは不明ですが、およそ1900年頃に製造された楽器らしい。

日本はまだ明治時代ですね。古き良き時代の、耳にやわらかく、心癒される響きがします。

ちょっと弾きにくいけれど、気持ちいいですよ。

 

boesendorfer.jpg

 

さてさて、カヤニカぱぱ家のピアノの断捨離はこれで終わりではありません。

次は1843年にウィーンで作られた「J.B.シュトライヒャー」というフォルテピアノがまな板の上にのります。

 

Streicher1.jpg

本物ですよ。レプリカではありません。

 

1843年です。1943年ではありません。ブラームスの時代です。

 

Streicher2.jpg

ほら!

 

これに関してはまた改めて!

 

 

 

 

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ピアノ売ります

  • 2017.02.22 Wednesday
  • 18:00

 

 

ピアノ売ります。

本気です。

断捨離です。

 

拙宅のスタジオはピアノで埋まってます。

計5台。物置状態です…。

うち1台は国産の電子楽器ですが、あと4台は外国製のグランドピアノ。

 

その中の

 

Steinway & Sons(スタインウェイ)モデルB-211

 

という楽器を手放すことに決めました。

迷ったのは事実でしたが…。

 

steinway.a.jpg

これがその楽器です。本気で手放すつもりです。

 

製造番号は454789。1975年頃に製造された楽器です。

ドイツはハノーヴァーのお店で選定して購入しました。

 

serialnumber.jpg

 

この時代のドイツ・スタインウェイの品質は

(アメリカン・スタインウェイというのもあるのです)

 

とても良い!

 

と言われています。

 

さて、「買っていただきたい」となると、気になるのがお値段。

 

そうですね…

新品の半額弱あたりを目安にできれば、と思っています。

それでもかなり高価ではあるのですが…。

応談の余地はありますよ。

 

楽器は必ずしも「古い=安い」とは限りません。

たとえばヴァイオリンで良い、古い楽器には

1億円(!)以上の値段がつくことも珍しくありません。

 

怖いもの見たさで新品の値段を知りたい方は

こちらをのぞいて下さい。

なお、腰を抜かさないように。

 

松尾楽器商会

 

いちばん気になるのは楽器の状態でしょう。

ボロボロになったから売り飛ばしたいのか?

 

違いますっ!

30年以上ものあいだ、大切に使ってきた楽器です。

誰がどう扱っていたかわからないのではなく、

当初からずっと今井家の管理下にありましたので、どうかご安心下さい。

 

外装はピッカピカではありませんが、普通に黒いです。

鏡がわりに顔を映してお化粧するのでなければOKです。

 

鍵盤は当時のスタンダード、象牙と黒檀。

象牙鍵盤のピアノは今では稀少品になりつつあります。

 

弦は低音部の巻き線も含め、昨年張り替えたばかりです。

その時のブログはこちら

 

strings.jpg

弦、錆びてませんよ〜。ピカピカです。

 

チューニングピンも新しくしました。

 

tuningpins.jpg

ほら!

 

ハンマーは数年前に交換済みです。

日常の練習用楽器ではなく、レッスンの際に生徒が弾く楽器として使っていたので

ほとんど減っていません。

 

hammer.middle.jpg hammer.diskant.jpg

左が低音〜中音部、右が高音部のハンマーの写真です。御確認下さい。

 

業界トップであるレンナー社(ドイツ)のハイグレードのものと交換しました。

スタインウェイ社のオリジナルハンマーは、同じレンナー社製であるのにもかかわらず

バカみたいに高価なので見送りました。

ブランド名を笠に着て、絶対にぼってると思いますっ!

 

70年代の楽器は今のピアノのように手軽に派手な音は出ないかも知れません。

私にとって、最近のピアノは

 

小学生でもプロのように美しい音が出せます

 

という、軽いタッチで明るい音のピアノが多すぎて、おもしろみに欠けるのです。

確かに誰が弾いても普通に良い音がしますが

 

こういう音色がほしい

 

というピアニストの要求に応える、あるいは

 

プロだからこそ出せる音を披露する

 

という「腕の見せ所」がなくなってしまった、と残念に思っています。

思い起こしてみれば、以前は車もピアノも

 

買ったその日からフル性能を楽しめる

 

ということはあり得ませんでした。

ゆっくり、ていねいに慣らし運転(慣らし演奏)をして、

ピアノの場合は季節の変化にも馴染ませながら

年単位で自分好みの楽器に育てていったものです。

 

でも今は時代が違います。

ピアノのような楽器でさえ、量販店でテレビや冷蔵庫を買う時のように

 

製品のバラツキがない

買ったその日からカタログ通りの性能が楽しめる

 

でなければ、売れなくなってしまいました。

私がまだ学生の頃、コンサートホールに入っていた楽器は

 

楽器の鳴り方が違うため、プロとアマの差が即座にわかる

 

という、ハードルの高いものでした。

 

今回手放すことにしたピアノは比較的弾きやすいものですが、

それでも手こずる生徒たちもいないわけではありません。

習熟度によって本当に音色も、音量も違うのです!

 

だからこそ弾き甲斐がある、というもの。

練習の成果が音にあらわれるのです。

「練習は裏切らない」という格言を実感できます。

 

steinway.b.jpg

素敵なピアノですよ〜。お待ちしています。

 

興味をお持ちの方、お知らせ下さい。

知り合いの方にも宣伝して下さい。

財布の紐を緩めて試弾においで下さい。

早い者勝ちです〜。

 

今井顕のオフィシャルサイト

 

に連絡用のページを準備してあります。

ページの上部と左側にある「contact」をクリックして下さい!

 

 

 

 

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楽譜ができた!

  • 2016.10.13 Thursday
  • 20:06

 

 

Facebookではすでに告知しましたが、

シューベルトの校訂楽譜が全音楽譜出版社より発売されました。

嬉しいです!

 

PA090008.jpg

 

シューベルト作曲の《グラーツ幻想曲》というピアノソロのための作品です。

そんなに難しくない、というか、そこそこ難しい、というか、そんなレベルです。

小中学生には厳しいかも知れません。

録音はこちら。私自身の演奏です。

 

https://www.youtube.com/watch?v=B1yQBsIBWKo

 

贋作だ、という説もありますが、私はシューベルトの作品だと思います。

作品の詳細や由来は楽譜の前書きにまとめておきましたが、

ここでもかいつまんでご紹介しておきましょう。

 

この作品はシューベルト自身の筆跡ではない手書きの楽譜として、

シューベルトと親交のあった音楽家の遺品の中から1960年代に発見されました。

その発見場所がグラーツという、ウィーンの南に位置する地方都市だったので

《グラーツ幻想曲》という名前がつけられたのです。

だから、本来は風光明媚でのんびりしたグラーツの風景や

シューベルトのグラーツに対する思い入れが作品に託されているわけではありません。

 

この作品が正真正銘シューベルトの作品である、という確たる証拠が不足しているため、

 

「これがシューベルトの作品だなんて、まったく笑止千万」

 

という意見がある一方、

 

「シューベルト以外の誰にこれほど高度な芸術作品を創作できるというのか」

 

という擁護説も声高に発表されています。

 

私は──シューベルトの作品だと思っています。

そうに違いない、とひしひし感じます。

それを信じて練習もしたし、コンサートでも弾き、CDにも収録してしまったのですから…。

 

作品の原典資料として残っているのは唯一、上記の筆写譜のみです。

幸いにもこの資料のコピーを入手できました。

それを精読して解釈し、演奏に適した補足や指使いを加筆したのが今回発売となった楽譜です。

 

IMG_0179.jpg

これがその貴重な原典資料です。

 

楽譜はもちろん楽器店やamazonでも買えますが、ご希望の方はお知らせ下さい。

クリスマスまでの限定で

 

サイン入り、税込み、送料込みで¥1,000円ポッキリの特別価格

 

というのは安すぎる?かなあ…。

正規の値段は¥1,000+税です。

 

国内であればメール便にてお届けします。

外国の場合は送料別途です。すみません。

 

imai■atwien.comにメールを送信して下さい(■を@に置き換えてお使い下さい)。

楽譜の送付先の記載をお忘れなく!

 

 

 

 

さりげなき脇役たち

  • 2016.09.29 Thursday
  • 06:27

 

 

 

私の音楽活動のひとつに

 

公開講座

 

という企画があります。

 

tottori2.jpg

 

 

テーマを決めて、ペラペラと蘊蓄を語るのです。

受講して下さるのは、おおむねピアノの先生方。

楽譜に関して、奏法に関して、また作曲家に関してなど、

その内容は多岐にわたります。

ま、学校の授業のようなものですね。

ただ、受講料を頂戴しますので、手を抜くわけにはいきません。

(もちろん大学での授業も、手を抜くことはありませんっ←キッパリ)

 

勉強になった

受講して良かった

 

と感じていただき、願わくはレピーターになっていただきたいのです。

そのために

 

よりわかりやすく

 

というポイントをとても大切にしています。

 

私がこうした公開講座で使用する備品は、基本的に次のものとなります。

 

・ピアノ(そりゃそうですよね。ピアニストですから)

・プロジェクター(持参することもあります)

・スクリーン(携帯できるものを持っています)

・パソコン(これは自分で持ち込みます)

・ホワイトボード(自分の車に積めるサイズのがあります)

 

ホワイトボード.jpg

結構かさばるものの、車で運べます。

 

頒布資料も準備しますが、基本はパソコンを利用したプレゼンテーションです。

よく耳にする

 

スライドショー

 

というもの。

これを利用するようになってから、話が伝わりやすくなったように思います。

 

でも、スライドショーの導入当時はそうではありませんでした。

せっかくスライドを見ていただいても、すっきりしない…。

 

その原因に気づかせてくれたのが、この本でした。

テレビのニュース解説がわかりやすくて有名な池上彰氏の著作です。

 

book.jpg

 

この本を読んで、私は「これはダメ」ということを軒並みやっていたことに気づかされました。

 

しゃべることすべてを文字で見せていた

 

のです。スライドのレイアウトも稚拙でした。

おまけに、このスライド自体を資料として手渡していました。

これでは教科書を配って、それをただ朗読していたのと同じです。

参加者の目線は手許の資料に釘付けになり、

講師と受講生のコミュニケーションが盛り上がらないのは当然です。

 

これではいかん、と方式を大転換。

今ではだいぶ進化したのでは、と思うのですが…。

何をどうしたかを知りたい方は、ぜひこの本をお読み下さい。

 

パソコンを駆使したプレゼンテーションをより円滑に進めるために、

いろいろな便利グッズを使っています。

今回はそれをご紹介しましょう。

 

まずはこれ。

これでパソコンに触れることなくスライドショーのページを進めます。

指示棒につけてもよし、あるいは指にリングのように装着することもできます。

 

パワポスイッチ.jpg

チップをパソコンに挿すとワイファイでつながります。(コクヨ製)

 

指示棒1.jpg

指示棒のグリップにつけてみました。

 

無線(ブルートゥース)接続のフットスイッチも使っています。

エアターンという製品で、もともとはiPadなどのタブレットで楽譜を見ながら演奏する際の

譜めくりグッズですが、プレゼンテーションソフトにも有効です。

これを使うと演奏しながらでもスライドを進めることができます。

 

airturn1.jpg airturn2.jpg

 

指示棒が届かない場合に使用するポインターはこれ。

赤いレーザー光線が照射されます。

一番安価で単純なやつですが、役立っています。

 

ポインタ.jpg

 

スクリーンは携帯式。グランドピアノの上にちょうど乗っかります。

 

homeseminar2.jpg

自宅での講座です。なぜ首からSuicaのカードをぶらさげているかは謎です。わけわからん…。

 

スクリーン2.jpg スクリーンケース.jpg

こんなにコンパクトになります。肩からかけられるキャリングケースつき。(EPSON製)

 

会場にホワイトボードがあっても、肝心の筆記用具がヒカヒカに乾いていることは日常茶飯事。

それに私は細字のマーカーが嫌いなので、自前のマーカーを常備しています。

 

マーカー.jpg

 

プロジェクターも持って行くことが多いです。ついでにパソコンとの接続ケーブルも。

30mのケーブルをネットショッピングで買いました。これがあると安心です。

 

プロジェクター.jpg ケーブル.jpg

プロジェクターは見た目より軽いです。

ケーブルについている白いアダプターは何よりも大切。これがないとパソコンにつなげられません。

 

これは一般に「防犯カメラ」として提供されているものです。

ペダル講座の時に、足の動きをリアルタイムでお見せするために使います。

映像はそれほど鮮明ではありませんが、これで充分間に合います。

 

camera2.jpg

右の小太郎は講座用の備品ではありません。

 

ビデオカメラも使えそうに思うでしょう。でもこれがNGなのです。

最近のビデオカメラはすべてデジタル方式で、

「映像のデジタル変換」というプロセスが必要なのです。

映像がモニタ画面に映るまでにちょっとしたタイムラグがあり、

これがペダリングのチェックにはとても邪魔。使えません。

昔のアナログビデオカメラは大丈夫なのですが、今ではほとんど見かけなくなりました。

 

yamahaseminar1.jpg

右のスクリーンで足の動きがリアルタイムでチェックできます。

 

ラジカセは簡易スピーカーとして使えます。

パソコン本体に内蔵されているスピーカーは、さすがに講座の会場には小さすぎますからね。

 

ラジカセ.jpg

 

こんなマイクも持っていますが、私の声はけっこう響くので、

数十人までの受講生であれば、肉声で充分なようです。

演奏しながらしゃべれるので便利です。

 

microphone.jpg

 

だいたいこんなところでしょうか…。

 

ピアノのない、会議室のようなところでも開催できるように、

運べるタイプの電子ピアノも持っています。

 

seminar1.jpg

後方に置いてあるのが専用ケース。クロネコに頼むと運搬も簡単。費用も安いです。

 

会場の備品を事前にチェックして、足りないものを持参するのですが、

場合によっては、結構な量の荷物になってしまいます。

出発前と講座の撤収時には忘れ物のチェックが欠かせません。

 

便利ではあるものの、このように電子機器に頼りきった企画で一番怖いのは

 

機材の故障

 

です。

こればかりは運を天に任せるしかありませ〜ん。

普段の行いが大切なのでしょうなあ…。

 

そこが、一番の問題ですね!

 

 

 

 

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老化現象?

  • 2016.07.27 Wednesday
  • 22:25

 

 

 

職業病でしょうか、両手の小指の関節が痛みます。

でも常に痛むわけではなく、

実生活には何の支障もありません。

 

私の手のレントゲン写真です。わりと美しいかも?

 

痛みが発生するのは、まじめにしっかりピアノの練習をしたときだけです…。

だから

 

たまに練習するからそうなるのよ。鍛え方が足りない!

 

と言われても反論できません。

 

でもここ数年は「ちょっとなあ…」と感じる時もあって、

我流のテーピングでしのいでいました。

 

こんなアイテムを使っていました。

 

痛いのは第三関節──指の関節では一番弱いところです。

強いタッチ、広い音域の和音、跳躍後の着鍵など、

関節に通常曲がる方向ではなく、逆に反る力が加わった時が問題なのです。

練習を続けていると痛みが増加します。

 

こんなふうにして、関節が反らないように固定するのです。

 

実は20代、ウィーンに住んでいる時に腱鞘炎を経験しました。

ピアノの練習ではなく、知人の引っ越しの手伝いがきっかけに(テヘヘ…)。

 

大きな机を下から支えながら階段を降りていた時、

ちょっと右手首の腱をのばしたような感覚があったのです。

 

そのまま数日放置しておけば何の支障もなかったでしょうが、

その時に限って練習を休むわけにはいきませんでした。

ハンガリーで開催される国際リスト・バルトーク・ピアノコンペティションに向かって準備していたのですが、レパートリーはリストやバルトークのソナタをはじめ、手指にはきついものばかりでした。

 

本番のステージでは痛みを感じませんが、それは極限の緊張が為せる技。

実際にはかなりの無理と負担がかかっていました。

コンペではかろうじて3位になれたものの、その後の演奏は休止状態に。

練習もままなりません。

一進一退の腱鞘炎を抱え、数年にわたるブランクを余儀なくされました。

 

さまざまな治療法を試したのはもちろんです。

これが決定打、というものはなかったものの幸い徐々に回復し、

今では何の後遺症もありません。

 

最終的には「痛くならない手の使い方」を身につけることで解決しました。

「奏法を変える」というとおおごとのようですが、これが一番の近道。

心配するより、ずっと簡単ですよ!

 

リハビリを通じて覚えたこともいろいろあります。

一番大切なのは

 

これ以上無理すると危ない!

 

というリミットがわかるようになったこと。

星飛雄馬がアイドルだった時代のように

 

この苦しみに耐えてこそ、栄光を手にできるのだ!

 

という思いは21世紀となった今、幻想でしかありません。

無理を強いても、それが怪我に繋がることさえあれ、

身体の運動機能はそれほど向上しないのです。

 

痛い時、疲れた時にはまず冷やす

 

という鉄則も大切にしています。

そのために、自宅の冷凍庫にはこんなアイテムが。

 

 

紙コップに水をなみなみと入れて凍らしただけのものですが、

手や腕の冷却とマッサージに最適です。

紙コップの一番上をペリペリと剥いてソフトクリームみたいにして、

それで手や腕をこすります。

 

 

気持ちいいです。

冷えるし、マッサージ効果もある。

練習後にやっておくと、疲労の回復スピードが格段に違うことを実感できます。

 

 

だいたいピアニストって、身体が資本で体力勝負の職業なのに、

練習前のウォーミングアップや練習後のクールダウンなんて、

ほとんど気にかけないじゃないですか。

ウォーミングアップはともかく、

 

練習後のクールダウンを忘れないように

 

とアドバイスするピアノの先生には、まだお目にかかったことがありません。

この季節になると、クールダウンのメニューよりも、

冷えた生ビールのジョッキが脳裏に浮かんできますからねえ。

それがより効果的?なクールダウン!

 

でもイチローは違います。

だからあのパフォーマンスを維持できるのでしょう。

 

画像、お借りしました。

 

話を痛む小指に戻します。

 

音楽家の手の故障にくわしい整形外科の専門医、酒井直隆先生が

東京は練馬区の江古田にクリニックを開院しました。

昨年5月のことです。

酒井先生は私のウィーン時代からの知り合いで、

不調を訴える生徒の相談にのっていただいたこともたびたびです。

 

自分自身が受診したことはまだなかったのですが、

今回は重い腰をあげて出かけることに。

だって、自宅から結構近いのです。便利。

 

酒井先生とクリニックの診察室で。

 

手の故障の専門医だけあって、設備も整っています。

レントゲン写真は10倍の大きさまで拡大できるそうです。

 

症状を訴え、状態をチェックしていただきました。

ま、年相応、というか、長年の因果というか、

 

1)骨と骨の間の軟骨の水分が失われ、少し薄くなりかけているかも。

2)関節を支える靱帯も、多少ゆるんでいる。

 

ということがわかりました。

 

靱帯が少しゆるいとは言え、関節の動きは安定しているので、特に心配はない

 

という診断でした。頭はちょっとゆるいかも、ですが…。

しか〜し、

 

痛い…

 

のであります。

ピアノを弾いていると気になります。

 

そこで推奨されたのがこのテープ。

酒井先生いわく

 

手指の関節をサポートするキネシオロジーテープで良い製品はないか、と世界中を探し回り、北欧へも行きました。そうして見つけたのがこのテープ。日本製です。灯台もと暗し、でしたね!

 

使いやすいサイズに自分でカットします。

 

ドラッグストアで売っているテーピング用テープよりもソフトで、伸縮性も抜群です。粘着力がびっくりするほど強く、関節に巻いて動かしていても、ゆるゆるになることはありません。それよりも、事後に剥がす時に苦労するぐらいです。

 

こんなふうに、少しのばしながら巻きつけるだけです。

 

こうしたテープは一方向にしか伸びません。

方向を間違えないように、自分の用途に合ったサイズにカットします。

それを患部に巻くだけ。少し伸ばしながら巻きつけると、支えが強めになります。

どの程度の幅のテープをどう使うと効果的かは、試行錯誤しながら自分で探します。

 

気に入りました。愛用しています。

巻くだけ、というのも簡単。超ラクチン。

 

同じような症状でお困りの方、試してみてはいかがですか?

もし診察をお望みなら、病院情報はこちらです。

 

http://www.sakai-seikei.com

 

 

 

パラフィンで暖めるのも気持ちいいです。

 

 

 

 

 

 

ラストスパート

  • 2016.02.24 Wednesday
  • 14:27


いやぁ、久しぶりに、すごいストレスを経験しました。
33回目の結婚記念日なんて、どこかに霧散してしまいました〜。
つれあいはもちろん、おかんむり…。ごめんなさい。ペコリ。
 
何をやっていたかというと…
本の出版の準備です。
ただし、私が書きおろした本ではなく
私の恩師パウル・バドゥーラ=スコダの著書
 
『新版 モーツァルト 演奏法と解釈』
 
の邦訳です。


これが原著です。

ピアニストとピアノの先生必携のバイブルみたいな本です。
ぜひ1冊お持ち下さい。ぜったいに後悔はしません。
モーツァルトに関する本ですが、
クラシック音楽の基礎がすっきりとわかるようになります。

実はこの本の前身は、私の恩師が音楽学者のエファ夫人との共著として1957年にドイツ語で刊行した、という由緒ある研究書です。すでにさまざまな言語に訳され、世界中の音楽関係者から「モーツァルト演奏のバイブル」として愛読されたのです。邦訳は1963年に音楽之友社より出版され、19刷も版を重ねた末、19959月に絶版になってしまいました。

計算してみると、1957年当時、著者は弱冠30歳。
ふつうでは考えられない業績です。
私の30歳当時とはまったく比較になりません…。嗚呼!

しかしその後モーツァルト研究も進み、新しい発見もたくさんありました。

最初の本が出てから50
年たった今、内容を改訂しよう

ということで上記の「新版」が準備されたのです。


原著は英語。スコダはオーストリア人(奥様はドイツ人)ですので、母国語はドイツ語。
でも「少しでも多くの人に読んでもらいたい」ので、あえて英語で執筆し、
英語での出版となりました。日本語版は、世界初の翻訳本となります。


しかし、ここに問題が…。
私の英語はドイツ語ほど闊達ではありません。

というわけで、以前やはり同じ著者の『バッハ 演奏法と解釈』の時にも手伝ってもらった堀朋平君に加え、音楽学者の賢夫人、西田紘子さんにもお手伝いをお願いしました。彼らが全面的な翻訳を快く引き受けてくれたのが、まずは最初で最大の「ラッキー!」だったのです。

翻訳は大変だったと思います。何と言っても量が半端ではありませんから…。
…と、口で言うのは簡単ですね!

本当にどうもありがとう。心から感謝しています!

私の仕事は監修者として翻訳文をすべてチェックし、
恩師である原著者の表情や言葉遣いや真意を想像しながら、
今井語」のリズムになおしていくことです。

「?」というところに遭遇すれば、すべて原著者に質問しました。
質問と確認の総数は、数百どころではとてもおさまらない数に登りました。

そんな煩雑な質問すべてにスコダは誠実に──時にはシニカルに、
そしてあるときはため息まじりに──返答してくれました。
数十年の長きに及ぶつきあいと師弟関係がなければ、確実に喧嘩別れになっていたと思います。


frageliste.jpg
内容のチェックリスト。スコダとの通信記録です。

本来翻訳本は「そのまま本文通りに訳す」のが基本で、
そこに訳者の個人的意見や感想を反映させてはならないものです。
でも、この本は違います。原著者の了承のもと、

原著を越えた完成度を達成できたのでは?

と、内心とてもわくわくしています。


そうこうしているうちに、各ページの体裁が整ってきて、
いよいよ印刷を視野に入れた準備を整えることになりました。
「校正」という、欠かせない作業です。

しかし、650ページを越える本の校正は、並大抵な仕事量ではありません。
それに加え、こういう作業は必ずこちらが忙しくしているときに発生し、
かつ息がつまるような期限つきでやってくるものです。
今回もやはりそのパターン…(汗)


script.jpg
これが校正稿の束。持つだけでもずっしりきます

他に方法はなく、休みを返上することに決めました。
なので、結婚記念日のお祝いは、なし。
定宿としている、ワンコと同室で宿泊できる河口湖畔のリゾートホテルの客のいないレストランに陣取って、好き勝手にダイニングテーブルを並べ、作業を開始したのです。

worksation.jpg
こんな感じで仕事をしていました。

翻訳もそうですが、校正稿のチェックも「砂を食むような」という表現がピッタリです。
翻訳の場合は原著を1行ずつ、1段落ずつ、1ページずつ訳し続けるのですが、
校正の場合も原稿を牛が歩むほどのスピードで読み直し、赤で修正を入れていきます。
ちりも積もれば山となる」を信じてじっと耐えるしかありません。
薄紙を剥がすような」という気分も当たっています。

mimisen.jpg
こういうところはBGMがうるさい。耳栓は必需品です。

ところで、ここで出版業界の実態をちょっとだけ暴露してしまいましょう。

こんなに過酷で膨大な作業をこなしてきたにもかかわらず、
訳者の堀夫妻も、私も、実は出版社からまだまったく何の報酬も受け取っていないのです!

すべては印税次第──つまり、出来高払い。

芥川賞受賞作品や村上春樹のような人気作家の書籍は売れに売れ、
転がりこむ印税も莫大な額になります。
ただ、モーツァルトとなるとねえ…。音楽家としては有名なのですが…。


でもこの本は、これからずっとコンスタントに売れ続けると思います。
それだけの内容があります。

内容の魅力に関しては、本が出版された暁にまたご紹介しましょう。
書店の棚に並ぶのは4月頃になりそうです。

乞うご期待!




 

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