ピアノの嫁入り

  • 2017.05.29 Monday
  • 13:45

 

 

 

2月22日のブログでぶちかました

 

ピアノ売ります

 

には、すぐさま反応がありました。

しかし、値段もそれなりの案件だったので「即日即決」とはならず、

お問い合わせいただいた順番を尊重しながら、いくつかの交渉を経た末に…

 

決まりました! ヽ(´ー`)ノ

 

京都に嫁入り(婿入り?)することになったのです。

場所は京都御所のすぐ近く。近隣に相国寺(しょうこくじ)もあります。

 

kyotogosho.jpg

御所への門の一つ。歴史を感じます。

 

syokokuji.jpg

有名な「鳴き龍」が天井に書かれている相国寺。

 

鴨川もすぐ近くを流れているので、散策に最適です。

 

このピアノを受け入れるために新しくスタジオが新設される運びとなり、

大切に使っていただけることになりました。

 

kyotostudio.jpg

新しいスタジオのエントランスはこちら。

 

スタジオの名は

 

ピアノサロン ミューズの微笑み

 

私も時々会いにいけるので、嬉しいです。

 

entrance.jpg

 

晴れてニューオーナーが決まるまでの顚末はこちらをご覧下さい。

 

「直感」でスタジオ創設?

 

スタジオの名称に関しても、こんなストーリーがあったそうです。

 

ピアノサロン「ミューズの微笑み」名前の由来

 

そして、すでに商標登録の出願も完了したとのこと!

ただし登録完了までは半年ぐらいかかるらしいです…。

 

いただいた大切なお名前だからこそ

 

くだんの楽器は5月28日に搬入され、翌29日の午前中に搬入調律完了。

今までこのピアノのお守り役だった名調律師の照沼氏がたまたま関西出張中だったので

新しい環境に合わせた調律と最終調整をお願いし、

万全の状態で楽器を引き渡すことができました。

 

withSakata.jpg

新しいオーナーの坂田さんと

 

私もたまたま28日まで関西で仕事だったので、立ち会いました。

楽器の特性や、今まで施された修理の詳細も、きちんと次の調律師に伝えてあります。

これからたくさんの方々に愛され、新しい歴史を刻んでくれることと思います。

 

搬入当日の様子は坂田さんのブログをご覧下さい。

 

ピアノ搬入・調律の記

 

拙宅のスタジオで今までスタインウェイが占めていた場所には、

カヤニカまま所有のベーゼンドルファーが鎮座しています。

 

2pianos.jpg

左側のピアノがベーゼンドルファーです。古いモデルなので2本ペダル。

 

製品番号がわからないのではっきりしたことは不明ですが、およそ1900年頃に製造された楽器らしい。

日本はまだ明治時代ですね。古き良き時代の、耳にやわらかく、心癒される響きがします。

ちょっと弾きにくいけれど、気持ちいいですよ。

 

boesendorfer.jpg

 

さてさて、カヤニカぱぱ家のピアノの断捨離はこれで終わりではありません。

次は1843年にウィーンで作られた「J.B.シュトライヒャー」というフォルテピアノがまな板の上にのります。

 

Streicher1.jpg

本物ですよ。レプリカではありません。

 

1843年です。1943年ではありません。ブラームスの時代です。

 

Streicher2.jpg

ほら!

 

これに関してはまた改めて!

 

 

 

 

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ピアノ売ります

  • 2017.02.22 Wednesday
  • 18:00

 

 

ピアノ売ります。

本気です。

断捨離です。

 

拙宅のスタジオはピアノで埋まってます。

計5台。物置状態です…。

うち1台は国産の電子楽器ですが、あと4台は外国製のグランドピアノ。

 

その中の

 

Steinway & Sons(スタインウェイ)モデルB-211

 

という楽器を手放すことに決めました。

迷ったのは事実でしたが…。

 

steinway.a.jpg

これがその楽器です。本気で手放すつもりです。

 

製造番号は454789。1975年頃に製造された楽器です。

ドイツはハノーヴァーのお店で選定して購入しました。

 

serialnumber.jpg

 

この時代のドイツ・スタインウェイの品質は

(アメリカン・スタインウェイというのもあるのです)

 

とても良い!

 

と言われています。

 

さて、「買っていただきたい」となると、気になるのがお値段。

 

そうですね…

新品の半額弱あたりを目安にできれば、と思っています。

それでもかなり高価ではあるのですが…。

応談の余地はありますよ。

 

楽器は必ずしも「古い=安い」とは限りません。

たとえばヴァイオリンで良い、古い楽器には

1億円(!)以上の値段がつくことも珍しくありません。

 

怖いもの見たさで新品の値段を知りたい方は

こちらをのぞいて下さい。

なお、腰を抜かさないように。

 

松尾楽器商会

 

いちばん気になるのは楽器の状態でしょう。

ボロボロになったから売り飛ばしたいのか?

 

違いますっ!

30年以上ものあいだ、大切に使ってきた楽器です。

誰がどう扱っていたかわからないのではなく、

当初からずっと今井家の管理下にありましたので、どうかご安心下さい。

 

外装はピッカピカではありませんが、普通に黒いです。

鏡がわりに顔を映してお化粧するのでなければOKです。

 

鍵盤は当時のスタンダード、象牙と黒檀。

象牙鍵盤のピアノは今では稀少品になりつつあります。

 

弦は低音部の巻き線も含め、昨年張り替えたばかりです。

その時のブログはこちら

 

strings.jpg

弦、錆びてませんよ〜。ピカピカです。

 

チューニングピンも新しくしました。

 

tuningpins.jpg

ほら!

 

ハンマーは数年前に交換済みです。

日常の練習用楽器ではなく、レッスンの際に生徒が弾く楽器として使っていたので

ほとんど減っていません。

 

hammer.middle.jpg hammer.diskant.jpg

左が低音〜中音部、右が高音部のハンマーの写真です。御確認下さい。

 

業界トップであるレンナー社(ドイツ)のハイグレードのものと交換しました。

スタインウェイ社のオリジナルハンマーは、同じレンナー社製であるのにもかかわらず

バカみたいに高価なので見送りました。

ブランド名を笠に着て、絶対にぼってると思いますっ!

 

70年代の楽器は今のピアノのように手軽に派手な音は出ないかも知れません。

私にとって、最近のピアノは

 

小学生でもプロのように美しい音が出せます

 

という、軽いタッチで明るい音のピアノが多すぎて、おもしろみに欠けるのです。

確かに誰が弾いても普通に良い音がしますが

 

こういう音色がほしい

 

というピアニストの要求に応える、あるいは

 

プロだからこそ出せる音を披露する

 

という「腕の見せ所」がなくなってしまった、と残念に思っています。

思い起こしてみれば、以前は車もピアノも

 

買ったその日からフル性能を楽しめる

 

ということはあり得ませんでした。

ゆっくり、ていねいに慣らし運転(慣らし演奏)をして、

ピアノの場合は季節の変化にも馴染ませながら

年単位で自分好みの楽器に育てていったものです。

 

でも今は時代が違います。

ピアノのような楽器でさえ、量販店でテレビや冷蔵庫を買う時のように

 

製品のバラツキがない

買ったその日からカタログ通りの性能が楽しめる

 

でなければ、売れなくなってしまいました。

私がまだ学生の頃、コンサートホールに入っていた楽器は

 

楽器の鳴り方が違うため、プロとアマの差が即座にわかる

 

という、ハードルの高いものでした。

 

今回手放すことにしたピアノは比較的弾きやすいものですが、

それでも手こずる生徒たちもいないわけではありません。

習熟度によって本当に音色も、音量も違うのです!

 

だからこそ弾き甲斐がある、というもの。

練習の成果が音にあらわれるのです。

「練習は裏切らない」という格言を実感できます。

 

steinway.b.jpg

素敵なピアノですよ〜。お待ちしています。

 

興味をお持ちの方、お知らせ下さい。

知り合いの方にも宣伝して下さい。

財布の紐を緩めて試弾においで下さい。

早い者勝ちです〜。

 

今井顕のオフィシャルサイト

 

に連絡用のページを準備してあります。

ページの上部と左側にある「contact」をクリックして下さい!

 

 

 

 

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楽譜ができた!

  • 2016.10.13 Thursday
  • 20:06

 

 

Facebookではすでに告知しましたが、

シューベルトの校訂楽譜が全音楽譜出版社より発売されました。

嬉しいです!

 

PA090008.jpg

 

シューベルト作曲の《グラーツ幻想曲》というピアノソロのための作品です。

そんなに難しくない、というか、そこそこ難しい、というか、そんなレベルです。

小中学生には厳しいかも知れません。

録音はこちら。私自身の演奏です。

 

https://www.youtube.com/watch?v=B1yQBsIBWKo

 

贋作だ、という説もありますが、私はシューベルトの作品だと思います。

作品の詳細や由来は楽譜の前書きにまとめておきましたが、

ここでもかいつまんでご紹介しておきましょう。

 

この作品はシューベルト自身の筆跡ではない手書きの楽譜として、

シューベルトと親交のあった音楽家の遺品の中から1960年代に発見されました。

その発見場所がグラーツという、ウィーンの南に位置する地方都市だったので

《グラーツ幻想曲》という名前がつけられたのです。

だから、本来は風光明媚でのんびりしたグラーツの風景や

シューベルトのグラーツに対する思い入れが作品に託されているわけではありません。

 

この作品が正真正銘シューベルトの作品である、という確たる証拠が不足しているため、

 

「これがシューベルトの作品だなんて、まったく笑止千万」

 

という意見がある一方、

 

「シューベルト以外の誰にこれほど高度な芸術作品を創作できるというのか」

 

という擁護説も声高に発表されています。

 

私は──シューベルトの作品だと思っています。

そうに違いない、とひしひし感じます。

それを信じて練習もしたし、コンサートでも弾き、CDにも収録してしまったのですから…。

 

作品の原典資料として残っているのは唯一、上記の筆写譜のみです。

幸いにもこの資料のコピーを入手できました。

それを精読して解釈し、演奏に適した補足や指使いを加筆したのが今回発売となった楽譜です。

 

IMG_0179.jpg

これがその貴重な原典資料です。

 

楽譜はもちろん楽器店やamazonでも買えますが、ご希望の方はお知らせ下さい。

クリスマスまでの限定で

 

サイン入り、税込み、送料込みで¥1,000円ポッキリの特別価格

 

というのは安すぎる?かなあ…。

正規の値段は¥1,000+税です。

 

国内であればメール便にてお届けします。

外国の場合は送料別途です。すみません。

 

imai■atwien.comにメールを送信して下さい(■を@に置き換えてお使い下さい)。

楽譜の送付先の記載をお忘れなく!

 

 

 

 

さりげなき脇役たち

  • 2016.09.29 Thursday
  • 06:27

 

 

 

私の音楽活動のひとつに

 

公開講座

 

という企画があります。

 

tottori2.jpg

 

 

テーマを決めて、ペラペラと蘊蓄を語るのです。

受講して下さるのは、おおむねピアノの先生方。

楽譜に関して、奏法に関して、また作曲家に関してなど、

その内容は多岐にわたります。

ま、学校の授業のようなものですね。

ただ、受講料を頂戴しますので、手を抜くわけにはいきません。

(もちろん大学での授業も、手を抜くことはありませんっ←キッパリ)

 

勉強になった

受講して良かった

 

と感じていただき、願わくはレピーターになっていただきたいのです。

そのために

 

よりわかりやすく

 

というポイントをとても大切にしています。

 

私がこうした公開講座で使用する備品は、基本的に次のものとなります。

 

・ピアノ(そりゃそうですよね。ピアニストですから)

・プロジェクター(持参することもあります)

・スクリーン(携帯できるものを持っています)

・パソコン(これは自分で持ち込みます)

・ホワイトボード(自分の車に積めるサイズのがあります)

 

ホワイトボード.jpg

結構かさばるものの、車で運べます。

 

頒布資料も準備しますが、基本はパソコンを利用したプレゼンテーションです。

よく耳にする

 

スライドショー

 

というもの。

これを利用するようになってから、話が伝わりやすくなったように思います。

 

でも、スライドショーの導入当時はそうではありませんでした。

せっかくスライドを見ていただいても、すっきりしない…。

 

その原因に気づかせてくれたのが、この本でした。

テレビのニュース解説がわかりやすくて有名な池上彰氏の著作です。

 

book.jpg

 

この本を読んで、私は「これはダメ」ということを軒並みやっていたことに気づかされました。

 

しゃべることすべてを文字で見せていた

 

のです。スライドのレイアウトも稚拙でした。

おまけに、このスライド自体を資料として手渡していました。

これでは教科書を配って、それをただ朗読していたのと同じです。

参加者の目線は手許の資料に釘付けになり、

講師と受講生のコミュニケーションが盛り上がらないのは当然です。

 

これではいかん、と方式を大転換。

今ではだいぶ進化したのでは、と思うのですが…。

何をどうしたかを知りたい方は、ぜひこの本をお読み下さい。

 

パソコンを駆使したプレゼンテーションをより円滑に進めるために、

いろいろな便利グッズを使っています。

今回はそれをご紹介しましょう。

 

まずはこれ。

これでパソコンに触れることなくスライドショーのページを進めます。

指示棒につけてもよし、あるいは指にリングのように装着することもできます。

 

パワポスイッチ.jpg

チップをパソコンに挿すとワイファイでつながります。(コクヨ製)

 

指示棒1.jpg

指示棒のグリップにつけてみました。

 

無線(ブルートゥース)接続のフットスイッチも使っています。

エアターンという製品で、もともとはiPadなどのタブレットで楽譜を見ながら演奏する際の

譜めくりグッズですが、プレゼンテーションソフトにも有効です。

これを使うと演奏しながらでもスライドを進めることができます。

 

airturn1.jpg airturn2.jpg

 

指示棒が届かない場合に使用するポインターはこれ。

赤いレーザー光線が照射されます。

一番安価で単純なやつですが、役立っています。

 

ポインタ.jpg

 

スクリーンは携帯式。グランドピアノの上にちょうど乗っかります。

 

homeseminar2.jpg

自宅での講座です。なぜ首からSuicaのカードをぶらさげているかは謎です。わけわからん…。

 

スクリーン2.jpg スクリーンケース.jpg

こんなにコンパクトになります。肩からかけられるキャリングケースつき。(EPSON製)

 

会場にホワイトボードがあっても、肝心の筆記用具がヒカヒカに乾いていることは日常茶飯事。

それに私は細字のマーカーが嫌いなので、自前のマーカーを常備しています。

 

マーカー.jpg

 

プロジェクターも持って行くことが多いです。ついでにパソコンとの接続ケーブルも。

30mのケーブルをネットショッピングで買いました。これがあると安心です。

 

プロジェクター.jpg ケーブル.jpg

プロジェクターは見た目より軽いです。

ケーブルについている白いアダプターは何よりも大切。これがないとパソコンにつなげられません。

 

これは一般に「防犯カメラ」として提供されているものです。

ペダル講座の時に、足の動きをリアルタイムでお見せするために使います。

映像はそれほど鮮明ではありませんが、これで充分間に合います。

 

camera2.jpg

右の小太郎は講座用の備品ではありません。

 

ビデオカメラも使えそうに思うでしょう。でもこれがNGなのです。

最近のビデオカメラはすべてデジタル方式で、

「映像のデジタル変換」というプロセスが必要なのです。

映像がモニタ画面に映るまでにちょっとしたタイムラグがあり、

これがペダリングのチェックにはとても邪魔。使えません。

昔のアナログビデオカメラは大丈夫なのですが、今ではほとんど見かけなくなりました。

 

yamahaseminar1.jpg

右のスクリーンで足の動きがリアルタイムでチェックできます。

 

ラジカセは簡易スピーカーとして使えます。

パソコン本体に内蔵されているスピーカーは、さすがに講座の会場には小さすぎますからね。

 

ラジカセ.jpg

 

こんなマイクも持っていますが、私の声はけっこう響くので、

数十人までの受講生であれば、肉声で充分なようです。

演奏しながらしゃべれるので便利です。

 

microphone.jpg

 

だいたいこんなところでしょうか…。

 

ピアノのない、会議室のようなところでも開催できるように、

運べるタイプの電子ピアノも持っています。

 

seminar1.jpg

後方に置いてあるのが専用ケース。クロネコに頼むと運搬も簡単。費用も安いです。

 

会場の備品を事前にチェックして、足りないものを持参するのですが、

場合によっては、結構な量の荷物になってしまいます。

出発前と講座の撤収時には忘れ物のチェックが欠かせません。

 

便利ではあるものの、このように電子機器に頼りきった企画で一番怖いのは

 

機材の故障

 

です。

こればかりは運を天に任せるしかありませ〜ん。

普段の行いが大切なのでしょうなあ…。

 

そこが、一番の問題ですね!

 

 

 

 

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老化現象?

  • 2016.07.27 Wednesday
  • 22:25

 

 

 

職業病でしょうか、両手の小指の関節が痛みます。

でも常に痛むわけではなく、

実生活には何の支障もありません。

 

私の手のレントゲン写真です。わりと美しいかも?

 

痛みが発生するのは、まじめにしっかりピアノの練習をしたときだけです…。

だから

 

たまに練習するからそうなるのよ。鍛え方が足りない!

 

と言われても反論できません。

 

でもここ数年は「ちょっとなあ…」と感じる時もあって、

我流のテーピングでしのいでいました。

 

こんなアイテムを使っていました。

 

痛いのは第三関節──指の関節では一番弱いところです。

強いタッチ、広い音域の和音、跳躍後の着鍵など、

関節に通常曲がる方向ではなく、逆に反る力が加わった時が問題なのです。

練習を続けていると痛みが増加します。

 

こんなふうにして、関節が反らないように固定するのです。

 

実は20代、ウィーンに住んでいる時に腱鞘炎を経験しました。

ピアノの練習ではなく、知人の引っ越しの手伝いがきっかけに(テヘヘ…)。

 

大きな机を下から支えながら階段を降りていた時、

ちょっと右手首の腱をのばしたような感覚があったのです。

 

そのまま数日放置しておけば何の支障もなかったでしょうが、

その時に限って練習を休むわけにはいきませんでした。

ハンガリーで開催される国際リスト・バルトーク・ピアノコンペティションに向かって準備していたのですが、レパートリーはリストやバルトークのソナタをはじめ、手指にはきついものばかりでした。

 

本番のステージでは痛みを感じませんが、それは極限の緊張が為せる技。

実際にはかなりの無理と負担がかかっていました。

コンペではかろうじて3位になれたものの、その後の演奏は休止状態に。

練習もままなりません。

一進一退の腱鞘炎を抱え、数年にわたるブランクを余儀なくされました。

 

さまざまな治療法を試したのはもちろんです。

これが決定打、というものはなかったものの幸い徐々に回復し、

今では何の後遺症もありません。

 

最終的には「痛くならない手の使い方」を身につけることで解決しました。

「奏法を変える」というとおおごとのようですが、これが一番の近道。

心配するより、ずっと簡単ですよ!

 

リハビリを通じて覚えたこともいろいろあります。

一番大切なのは

 

これ以上無理すると危ない!

 

というリミットがわかるようになったこと。

星飛雄馬がアイドルだった時代のように

 

この苦しみに耐えてこそ、栄光を手にできるのだ!

 

という思いは21世紀となった今、幻想でしかありません。

無理を強いても、それが怪我に繋がることさえあれ、

身体の運動機能はそれほど向上しないのです。

 

痛い時、疲れた時にはまず冷やす

 

という鉄則も大切にしています。

そのために、自宅の冷凍庫にはこんなアイテムが。

 

 

紙コップに水をなみなみと入れて凍らしただけのものですが、

手や腕の冷却とマッサージに最適です。

紙コップの一番上をペリペリと剥いてソフトクリームみたいにして、

それで手や腕をこすります。

 

 

気持ちいいです。

冷えるし、マッサージ効果もある。

練習後にやっておくと、疲労の回復スピードが格段に違うことを実感できます。

 

 

だいたいピアニストって、身体が資本で体力勝負の職業なのに、

練習前のウォーミングアップや練習後のクールダウンなんて、

ほとんど気にかけないじゃないですか。

ウォーミングアップはともかく、

 

練習後のクールダウンを忘れないように

 

とアドバイスするピアノの先生には、まだお目にかかったことがありません。

この季節になると、クールダウンのメニューよりも、

冷えた生ビールのジョッキが脳裏に浮かんできますからねえ。

それがより効果的?なクールダウン!

 

でもイチローは違います。

だからあのパフォーマンスを維持できるのでしょう。

 

画像、お借りしました。

 

話を痛む小指に戻します。

 

音楽家の手の故障にくわしい整形外科の専門医、酒井直隆先生が

東京は練馬区の江古田にクリニックを開院しました。

昨年5月のことです。

酒井先生は私のウィーン時代からの知り合いで、

不調を訴える生徒の相談にのっていただいたこともたびたびです。

 

自分自身が受診したことはまだなかったのですが、

今回は重い腰をあげて出かけることに。

だって、自宅から結構近いのです。便利。

 

酒井先生とクリニックの診察室で。

 

手の故障の専門医だけあって、設備も整っています。

レントゲン写真は10倍の大きさまで拡大できるそうです。

 

症状を訴え、状態をチェックしていただきました。

ま、年相応、というか、長年の因果というか、

 

1)骨と骨の間の軟骨の水分が失われ、少し薄くなりかけているかも。

2)関節を支える靱帯も、多少ゆるんでいる。

 

ということがわかりました。

 

靱帯が少しゆるいとは言え、関節の動きは安定しているので、特に心配はない

 

という診断でした。頭はちょっとゆるいかも、ですが…。

しか〜し、

 

痛い…

 

のであります。

ピアノを弾いていると気になります。

 

そこで推奨されたのがこのテープ。

酒井先生いわく

 

手指の関節をサポートするキネシオロジーテープで良い製品はないか、と世界中を探し回り、北欧へも行きました。そうして見つけたのがこのテープ。日本製です。灯台もと暗し、でしたね!

 

使いやすいサイズに自分でカットします。

 

ドラッグストアで売っているテーピング用テープよりもソフトで、伸縮性も抜群です。粘着力がびっくりするほど強く、関節に巻いて動かしていても、ゆるゆるになることはありません。それよりも、事後に剥がす時に苦労するぐらいです。

 

こんなふうに、少しのばしながら巻きつけるだけです。

 

こうしたテープは一方向にしか伸びません。

方向を間違えないように、自分の用途に合ったサイズにカットします。

それを患部に巻くだけ。少し伸ばしながら巻きつけると、支えが強めになります。

どの程度の幅のテープをどう使うと効果的かは、試行錯誤しながら自分で探します。

 

気に入りました。愛用しています。

巻くだけ、というのも簡単。超ラクチン。

 

同じような症状でお困りの方、試してみてはいかがですか?

もし診察をお望みなら、病院情報はこちらです。

 

http://www.sakai-seikei.com

 

 

 

パラフィンで暖めるのも気持ちいいです。

 

 

 

 

 

 

ラストスパート

  • 2016.02.24 Wednesday
  • 14:27


いやぁ、久しぶりに、すごいストレスを経験しました。
33回目の結婚記念日なんて、どこかに霧散してしまいました〜。
つれあいはもちろん、おかんむり…。ごめんなさい。ペコリ。
 
何をやっていたかというと…
本の出版の準備です。
ただし、私が書きおろした本ではなく
私の恩師パウル・バドゥーラ=スコダの著書
 
『新版 モーツァルト 演奏法と解釈』
 
の邦訳です。


これが原著です。

ピアニストとピアノの先生必携のバイブルみたいな本です。
ぜひ1冊お持ち下さい。ぜったいに後悔はしません。
モーツァルトに関する本ですが、
クラシック音楽の基礎がすっきりとわかるようになります。

実はこの本の前身は、私の恩師が音楽学者のエファ夫人との共著として1957年にドイツ語で刊行した、という由緒ある研究書です。すでにさまざまな言語に訳され、世界中の音楽関係者から「モーツァルト演奏のバイブル」として愛読されたのです。邦訳は1963年に音楽之友社より出版され、19刷も版を重ねた末、19959月に絶版になってしまいました。

計算してみると、1957年当時、著者は弱冠30歳。
ふつうでは考えられない業績です。
私の30歳当時とはまったく比較になりません…。嗚呼!

しかしその後モーツァルト研究も進み、新しい発見もたくさんありました。

最初の本が出てから50
年たった今、内容を改訂しよう

ということで上記の「新版」が準備されたのです。


原著は英語。スコダはオーストリア人(奥様はドイツ人)ですので、母国語はドイツ語。
でも「少しでも多くの人に読んでもらいたい」ので、あえて英語で執筆し、
英語での出版となりました。日本語版は、世界初の翻訳本となります。


しかし、ここに問題が…。
私の英語はドイツ語ほど闊達ではありません。

というわけで、以前やはり同じ著者の『バッハ 演奏法と解釈』の時にも手伝ってもらった堀朋平君に加え、音楽学者の賢夫人、西田紘子さんにもお手伝いをお願いしました。彼らが全面的な翻訳を快く引き受けてくれたのが、まずは最初で最大の「ラッキー!」だったのです。

翻訳は大変だったと思います。何と言っても量が半端ではありませんから…。
…と、口で言うのは簡単ですね!

本当にどうもありがとう。心から感謝しています!

私の仕事は監修者として翻訳文をすべてチェックし、
恩師である原著者の表情や言葉遣いや真意を想像しながら、
今井語」のリズムになおしていくことです。

「?」というところに遭遇すれば、すべて原著者に質問しました。
質問と確認の総数は、数百どころではとてもおさまらない数に登りました。

そんな煩雑な質問すべてにスコダは誠実に──時にはシニカルに、
そしてあるときはため息まじりに──返答してくれました。
数十年の長きに及ぶつきあいと師弟関係がなければ、確実に喧嘩別れになっていたと思います。


frageliste.jpg
内容のチェックリスト。スコダとの通信記録です。

本来翻訳本は「そのまま本文通りに訳す」のが基本で、
そこに訳者の個人的意見や感想を反映させてはならないものです。
でも、この本は違います。原著者の了承のもと、

原著を越えた完成度を達成できたのでは?

と、内心とてもわくわくしています。


そうこうしているうちに、各ページの体裁が整ってきて、
いよいよ印刷を視野に入れた準備を整えることになりました。
「校正」という、欠かせない作業です。

しかし、650ページを越える本の校正は、並大抵な仕事量ではありません。
それに加え、こういう作業は必ずこちらが忙しくしているときに発生し、
かつ息がつまるような期限つきでやってくるものです。
今回もやはりそのパターン…(汗)


script.jpg
これが校正稿の束。持つだけでもずっしりきます

他に方法はなく、休みを返上することに決めました。
なので、結婚記念日のお祝いは、なし。
定宿としている、ワンコと同室で宿泊できる河口湖畔のリゾートホテルの客のいないレストランに陣取って、好き勝手にダイニングテーブルを並べ、作業を開始したのです。

worksation.jpg
こんな感じで仕事をしていました。

翻訳もそうですが、校正稿のチェックも「砂を食むような」という表現がピッタリです。
翻訳の場合は原著を1行ずつ、1段落ずつ、1ページずつ訳し続けるのですが、
校正の場合も原稿を牛が歩むほどのスピードで読み直し、赤で修正を入れていきます。
ちりも積もれば山となる」を信じてじっと耐えるしかありません。
薄紙を剥がすような」という気分も当たっています。

mimisen.jpg
こういうところはBGMがうるさい。耳栓は必需品です。

ところで、ここで出版業界の実態をちょっとだけ暴露してしまいましょう。

こんなに過酷で膨大な作業をこなしてきたにもかかわらず、
訳者の堀夫妻も、私も、実は出版社からまだまったく何の報酬も受け取っていないのです!

すべては印税次第──つまり、出来高払い。

芥川賞受賞作品や村上春樹のような人気作家の書籍は売れに売れ、
転がりこむ印税も莫大な額になります。
ただ、モーツァルトとなるとねえ…。音楽家としては有名なのですが…。


でもこの本は、これからずっとコンスタントに売れ続けると思います。
それだけの内容があります。

内容の魅力に関しては、本が出版された暁にまたご紹介しましょう。
書店の棚に並ぶのは4月頃になりそうです。

乞うご期待!




 

大修理

  • 2016.01.23 Saturday
  • 22:40

 
プロのピアニストにとって
ピアノは消耗品だと言われます。
そんなにすぐダメになるわけではありませんが、ずっと使い続けていると、
 
メインテナンスに費用をかけるよりは新しい楽器を買った方が安上がり
 
というタイミングがくるのです。

お金のかかる修理には

 
・打弦用のハンマー交換
・弦の張り替え←今回の修理内容
・消音用のダンパーフェルト更新
・鍵盤裏のフェルト交換
・響板の更新

などいろいろあります。
もちろん、お金をつぎ込んで使い続ける、という選択肢もありますが…。

01Titel.jpg
 
わが家の防音スタジオは、恵まれていることにふたつあるのですが、
どちらも所狭しとピアノであふれています。
グランドピアノが4台(!)に、電子ピアノが1台。
内訳は1970年代のドイツ製ピアノが2台、1900年頃のウィーン製のピアノが1台、
1843年製の古楽器が1台、そしてあとは国産の電子キーボードです。
【極秘情報】1843年のオリジナル古楽器(シュトライヒャー)、そのうち手放そうかと考え始めているところです。
修復はもちろんした方が良いのですが、現時点でも演奏可能な状態です。早い者勝ちか??

 

指は手足合わせても20本しかないのに、こんなにピアノがあってもねえ…。
 
今回、そのうち1台の弦を張り替えてもらうことにしました。
通常は修理用の工房に搬送して作業してもらうことが多いのですが、
今回は私が愛用の楽器のケアとメインテナンスをいつもお願いし、
全幅の信頼を置いているピアノ技術者(調律師)、照沼純氏に依頼して、
自宅で修理してもらうことに。
 
02Terunuma.jpg
作業中の照沼純氏。
 
照沼氏は私がウィーンにいた頃に
ベーゼンドルファーの本社工場で活躍していた超一流の技術者で、
宮仕えにはちょっと不向きなものの、職人気質で腕はピカイチです。
何と言っても

あの時代の音の雰囲気

を共有してくれることが、ありがたい。
これは説明してもわからない、独特な感覚なのです。
 
いや〜、それでも思ったより大変でした。
ピアノのダンパーを取りはずし、張ってある弦を1本ずつはずし、張り直し、
はずしたダンパーを戻し、最終調整を終えるまでにまる4日かかりました。
それでも迅速な方かも知れません。

その後も音律がまだ多少不安定です。
新しい弦が張力によって伸びるのは仕方ありません。
すっかり落ち着くまでには今しばらくかかりそうです。
 
03junbi.jpg
ピアノを移動する準備をします。

04transport.jpg
グランドピアノは横にして脚をはずしてから動かすのです。

05nude.jpg
古い弦をすべて撤去しました。

06strings.jpg
はずした鋼鉄製の弦の山。すべて廃棄です。

07start.jpg
高音セクションから手作業で1本ずつ張っていきます。

08weiter.jpg
だいぶ張れました。

09setup.jpg
ようやく張り終え、ダンパーのセットアップ開始です。

でも新品の弦は響きも若々しくはつらつとしているような気がして、
思う存分弾ける日が来るのが、とても楽しみです。
 
修理中には私の教え子の松田ゆかりさんも見学に来ました。
彼女は演奏家として私のクラス(大学院)を修了した後に結婚し、
結婚したと思ったら
海外青年協力隊の一員として
単身でモルジブに2年間音楽教師として赴任したという、ユニークな人です。
 
10duet.jpg
松田さんと照沼氏。照沼氏は見た目ほどのおじいさんではありません。まだ私と同じ60代。
 
現地の教室にはアップライトピアノが1台だけあったものの、壊れていて使えなかったそうです。

ピアノの先生だし、日本人なんだから日本のメーカーのピアノぐらい直せるだろう

と言われても、無理。お手上げ。
授業そのものは電子ピアノで行うのですが、響きの魅力は比べようがありません。
 
本物のピアノの魅力を伝えたい!
そのためには自分でピアノの調律や修理をできるようにならないと

 
と痛感し、帰国後それまでの人生を一気に転換して、
今はピアノ技術者になるべく修行を積んでいるところです。
 
私のピアノもちょっと調律してもらったのですが、なかなかよろしい。
修行は順調に実を結んでいるように見受けられました。
 
11matsuda.jpg
松田さん。調律の手つきはもう押しも押されぬプロ級です。
 
最近テレビや新聞などで
 
中古のピアノを売ってください
 
というコマーシャルを見かけます。
こうして集められた楽器は発展途上国などにも輸出されるのでしょうが、
単に楽器だけ送り出しても調律や修理をできる人がいなければ、単なる宝の持ち腐れ。
 
松田さんは

そんなことがあってはならない
一人でも多くの人にピアノの魅力を知ってもらいたい
ピアノがあるなら、それを使える状態に保ちたい


と、大きな夢に向かって頑張っている、すてきな女性です。
 
輝いてます!
応援しています!

若い、っていいなあ!





 

やっぱり嬉しい

  • 2015.12.20 Sunday
  • 08:56
 


今年の最大イベントだった「久しぶりのソロリサイタル」の記憶も、
そろそろ薄れつつあります。

ようやく先週になって(ということは事後ほぼ3ヶ月)、
演奏の録音もおそるおそる聴いてみる勇気が湧きました。

自分の演奏はともかく、会場を満たす温かい拍手の響きに癒されました。

あらためて、ありがとうございました。

コンサートの批評も音楽の月刊誌に出ました。
ひとつは『レコード芸術12月号』の「読者投書箱」に、とある読者が投稿してくださったもの、
そしてもう一つは『ムジカノーヴァ12月号』の「演奏会批評」のページに掲載された、
プロの批評家によるものです。


幸いなことに、双方ともに褒め言葉がいっぱい。嬉しいです!
とても嬉しかったので、さわりの部分を文末に転載しました。
お時間のある方はお読み下さいませ。



コンサートの批評が新聞や雑誌に出るのか、事前にはわかりません。
出ればラッキーですが、出ないこともあります。
だって、数え切れないほどのコンサートが連日開催されているのです。
すべての批評が公開されるのは、物理的に不可能。

「出ればラッキー」ではあるものの、それは誉めてもらえた場合です。
もし渋い内容だったら、すごく落ち込みます。
あからさまな表現で指摘されることはあまりありませんが、

「演奏に多少の荒さがうかがえた」
「すべてが完璧というわけではなかったが…」
「集中力に…」


みたいなフレーズは、読み慣れている人にはピンときます。
「やっちゃったんだね」というわけ。

そんな一喜一憂をもたらす批評ですが、たとえ

何でこんな事書くんだよ〜。
「オレの耳は節穴ではない」ってか?
そんな偉そうなこと言うなら、自分で弾いて見ろよー。


と憤りを感じるようなフレーズがあっても、しばらくたつと
「そう感じる人も世の中にはいるんだな」と受け入れられるようになります。
心の隅にひっかかったままでも、長い目で見ればそれが反省材料になり、
自分の成長につながります。


演奏会の批評の最高ランクは、主要日刊紙の紙面に出るものです。
朝日、日経、毎日、読売などで扱われるのは、すごいこと。
私はまだ経験していません。

若い頃は、コンサートの前になると大手新聞社の学芸部にチラシと招待状を持って
挨拶に行ったものです。その際、金品は不要です。
社の喫茶室でコーヒーをごちそうになりながら自分の近況やコンサートのあらましを話し、
「よろしくお願いします」と頭を下げて帰ってきます。


新聞では「見出しになるか」がポイント。
それゆえ、見出しに馴染みそうな内容でプログラムを構成したり、
見出しに使えそうなキャッチを意図的に口走ったり、いろいろ努力を重ねました。
「今井顕のピアノリサイタル」では何の変哲もありませんが、
作曲家の生誕何年、没後何年、あるいはチャリティーがらみだったりすると、
記事として紹介してもらえる可能性があります。
新聞紙面に掲載される記事は無料、かつ絶大な広告効果があるのです!

新聞の広告欄を買うこともできますが、これはすごく高価。
たとえば朝日新聞夕刊の下部にあるコンサート用広告欄は縦5センチぐらいですが、
1行およそ1万円。最低でも3行は必要なので(タイトル、場所と時間、チケット入手方法)、
ミニマムチャージは3万円。

でもこれでは目立ちません。きついです。

それはさておき、こうした「挨拶回り」、今はしていません。
そりゃそうですよね、私の方が記者より年上の場合がほとんどです。
それで「よろしくお願いします」というのは、どこか不自然ですからね。

音楽月刊誌は編集部の独断でコンサートをセレクトし、
そこに批評家を派遣しています。

評価対象として優先されるコンサートは「手打ちのコンサート」、
つまり今回の私のように自分で企画したもの、
あるいは各オーケストラの定期公演、
あとは有名どころの来日アーティスト(いわゆる外タレ)で、
スポンサー企業の冠つきコンサートなどは、よっぽどでないと扱われません。

出版社によっては「広告枠を買ってくれたアーティスト」を優先する雰囲気もあるようです(コンサート専用の広告ページが準備されています)。
長年おつきあいしていると「この雑誌には出るかも」と何となく察しがつくようになりますが、
どの批評家が批評を担当してくれるかまではわかりません。


出ようが、出まいが、なるべく気にしないようにしているのですが、
それでも気になるのが批評。
つまるところは赤の他人の勝手な評価なんですけれどね。
それも、グサッと来るのは自分だけ。
他の読者にとっては「ふ〜ん」で終わるものでしかありません。

ああ、「煩悩から解き放たれる」って、難しい…。


ところで、今回の成果へのとても嬉しい評価、以下に紹介させて下さい!
 

『ムジカノーヴァ』2015年12月号、音楽之友社、75頁
[…]ここ10年間の今井は、おもにアンサンブル・ピアニストとして活動してきたが、還暦を区切りに今回ソリストにカムバックしたという彼は、テクニックと気力の充実においても筆者の予想を上回る水準を示し、そのキャリアに恥じることのない演奏を楽しませてくれた。彼の演奏は、ウィーン的な情緒や雰囲気を豊かに漂わせている一方、そうした要素に安易に溺れることのない意志的な統制力も有しており、構成力のゆるぎなさにおいても見るべきものを示していた。モーツァルトの4曲は、熟考された楽曲の把握が目を惹く演奏であったが、それ以上に筆者に関心を抱かせた点は、そうした中にも生き生きとした愉悦感がふんだんに息づいており、それが彼の音楽を聴く歓びを与えてくれたことにある。シューベルトは、彼のウィーン的な感性や教養が強力な武器として作用した妙演であったが、《グラーツ幻想曲》は中でも特に傑出した内容であり、そこに示されたバランスの良い構成力と程よいウィーン的カラーの調和は、このピアニストの価値ある才能を如実に物語っていた。ソロの領域でも再度活躍してほしい逸材である。(柴田龍一)

『レコード芸術』2015年12月号、音楽之友社、262頁
[…]ところで一曲ずつの感想より、全体のそれを記してみたい。今井氏ほど師である、パウル・バドゥラ=スコダの影響を受けたピアニストはいない。彼が十八番としている、モーツァルトもシューベルトも、師が最も得意としていた曲である。また、その音色もよく似ている。ベーゼンドルファーを使用しているせいもあるが。E・フィッシャー、P・バドゥラ=スコダ、今井顕と、いまや彼は、世界でも数少ない、オーストリア音楽の伝統を受け継いだ正統派ピアニストと言えよう。彼らに共通しているのは、技巧よりも作品の中に流れる、慈しむような優雅さを大切に表現していることである。技術的に優れているピアニストはいくらでもいる。しかし、モーツァルトの豊かな感情、シューベルトのふくよかな表情を細部までていねいに弾きあげ、知性と感情のバランスが保たれたその表現力は、今井氏ならではのものであり、とくに、シューベルトに対しての深い思い入れが印象に残った。[…](青木蓮)



 

デジピとアコピ

  • 2015.11.08 Sunday
  • 09:22


電子ピアノを考える
 
というタイトルのシンポジウムが開催されました。
主催は全日本ピアノ指導者協会──ピアノの先生の団体です。
 

flyer.jpg

昨今、何事も電気が助けてくれるようになりました。
電気がなかったら、生活、成り立ちません。

ご飯だって、電気釜。
掃除も掃除機、洗濯も洗濯機、
電気仕掛けの器具の助けなしでは、すべてが非効率です。
 
そんな「デンキのチカラ」は音楽の世界にも波及しています。
 
音楽を鑑賞するためにデンキのチカラが必要なのは当たり前になりましたが、
演奏のための楽器も刻々と変化しているのです。
 
これを「進化」と呼んでいいのかどうかはわかりません。
昔ながらの楽器は、やっぱりすごいです。
でも、新しい電気仕掛けの楽器も便利です。
 
ピアノも、電気仕掛けで音が出るようになりました。
電子ピアノ、デジタルピアノといった名前で呼ばれています。
ピアノの形をしていない、キーボード、シンセサイザーといったものも
コンセプトは同じ「親戚」です。
 
それに対して、昔ながらのピアノを呼ぶ際に
 
生ピアノ(なまぴあの)
 

という言葉を使うことがあります。
 
便利です。わかりやすいです。
でも私は大嫌いな言葉です。
 
なぜって、品位に欠けるから。
アーティストが口にする言葉ではありませんっ
 
私は「生ピアニスト」と呼ばれたくありません。
「ウィーン国立音楽大学の生ピアノ科で勉強しました」というのもいやです。
「現在は音大で生ピアノを教えています」というのもキモイ。
 
で、ここでは「アコースティックピアノ」という名前を使いたいと思います。
タイトルにある「デジピ」はデジタルピアノ、つまり電子ピアノのこと。
「アコピ」とは普通のピアノ、アコースティックピアノです。
 
さて、このデジタルピアノの性能ですが、あなどれません。
便利、楽しい、メインテナンスフリー、といったポイントでは
アコースティックピアノより上かも知れません。

ピアノ以外の音も出るし、リズムも奏でてくれます。
調律もいらない。
ヘッドフォンを使えば深夜早朝でも自由に演奏できます。
 
私自身は「電気で音が出る疑似ピアノ」というよりは
 
すでにひとつの成熟した楽器として評価しても良いのではないか

と思っています。
 
私も持ち運びができるタイプをゲットしました。


during.jpg
これが愛器です。背後にあるのが運搬用のケース。こんなマイクも接続できるので、講座などにはとても便利。
ぬか味噌が腐るのを厭わなければ、弾き歌いも簡単です。

 
そんなこんなで、「子供にピアノを習わせたい」と思い立った親が子供に買い与える楽器は、
デジタルピアノであることが半分以上になりました。
「ピアノといえば、これのこと」と思っている人も少なくないとか。
 
確かにグランドピアノはもとより、アップライトピアノでも、
昔ながらのアコースティックピアノを入手することは
いろいろな面で敷居が高いです。
 
それに対するデジタルピアノ、見かけは便利そうだし、それなりのモデルを買えば
音もタッチもアコースティックピアノとほとんど変わらないようですが…
 
…やっぱり違います。
それも、ちょっとやそっとの違いではなく、すごく違う、というのが
ピアノの先生ほぼ全員が共有している実感なのです。
 
音に対する感性の育ち方も違うし、テクニックの上達も思うようにはかどらない、
という状況が実際にあり、今回も報告されました。
 
なぜだろう
どうしたらいいんだろう
他の先生たちはどうしているの?

 
ということに触れ、問題点を直視し、悩みを共有するのが、
このシンポジウムの目的でした。


audience.jpg
ステージにはたくさんのデジタルピアノが展示され、試弾もできました。
 
私もパネリストの一員として、
教育者としてよりも演奏家の立場からの発言を。
 
楽器としての評価に賛否両論あるものの、
デジタルピアノの存在は、今や否定することはできません。
「ピアノの代用品」という時代は、もはや過去のこと。
最先端のデジタルピアノの性能はびっくりするほどすごいです。
 
ふだんアコースティックピアノを扱っているピアニストにとって
こうしたデジタルピアノを弾きこなすことは難しくありません。
違和感を感じることはあっても、慣れればOKです。
 
では、デジタルピアノだけで成長してきたピアニストはどうなのでしょう。
プロとして通用するレベルまで到達できるのでしょうか。
 
デジタルピアノだけで練習を積んで、アコースティックピアノを自由闊達に弾きこなす、
そしてショパンコンクールに入賞する、というのは今のところはまだ無理そうに思えます。
 
しかし、デジタルピアノの演奏に特化した
「デジタルピアニスト」の誕生はありえるかも。
もしかするとそんなに遠くない将来、
こちらの方がスターになる時代が到来するかも知れません。
 
あの高性能のデジタルピアノの性能をフルに使い切って演奏されたら、
アコースティックピアノは立ち向かえるか?
 
──そりゃ、昔ながらの「芸術」は不滅です。
耐えて、苦しんで、努力して到達する境地は、
演奏者にとって、また聴衆にとってかけがえのないものでしょう。
でもこれって、すでに250年続いてきました。未来永劫このままか、というと、
どうでしょう…。
 
ビジネスとしても、デジタルピアノが活躍できる場はどんどん広がっていきそうな気がします。
ブライダルの仕事、場所を選ばない気軽なコンサート、
モバイルの楽器を活用した学校訪問、施設訪問などなど。
ピアノがなくてもピアノのコンサートができちゃいます。
調律も必要ないからお手軽です。


after.jpg
終了後の体験コーナーは大盛況。
 
それはさておき、
シンポジウムの中でおもしろいビジネスモデルが紹介されました。
 
会員制のスポーツジムに似たピアノ教室です。
 
その教室にはデジタルピアノがたくさん並んでいます。
入会すると、その楽器を1時間単位で使えるのです。
ヘッドフォンで弾けるから、複数の人がいる大部屋でも大丈夫。
好きな時に好きなだけ弾ける。
会社の帰りにも寄れるから、家に楽器がなくても大丈夫。
 
それに加えて、インストラクターのアドバイスが受けられるのです。
60分の楽器使用料の中には15分のアドバイス料が含まれていて、
分単位でのアドバイスが受けられます。
ちょっと迷ったら軽くレッスンしてもらって、練習続行。
行き詰まったら、またワンポイントアドバイス。
 
「レッスンに来る」というより
「練習時にきめ細かくアドバイスしてもらう」という感じですね。
スポーツジムで、マシンの正しい使い方を教えてもらいながら自分でトレーニングするのと、
まったく同じスタイルです。
 
いや〜、おもしろい。ユニーク。
興味がある方は「音楽工房ピアスタ」で検索して下さい。







 

リサイタル終了〜!

  • 2015.09.29 Tuesday
  • 22:05


recitalending.jpg


久しぶりの大イベントが終わりました

…というか、終わってしまいました。

この数ヶ月間というもの、この日に照準を合わせ、毎日を積み重ねてきたのです。

朝ごはんを食べながら「今日はどの曲を揉もうかな」と考えます。

「あの準備はどうしよう」「この準備は間に合うかな」と、

すべてはこれを中心にまわっていました。

そう、還暦記念のソロ・リスタート・コンサート。

演奏活動自体は続けていたものの、本格的なソロステージは10年ぶりでした。

若かったときのようにはいきません。

弾き終わって反省すべきところは多々あるものの、

まずは無事、成功裡に終わりました。

幸せです。
ほぼ満席のホールで弾けたのも、演奏家冥利に尽きる喜びでした。

今回のコンサート、自分一人の力でできたなどとおこがましいことは、

口が裂けても言えません。

ほんとうにたくさんの方々に支えていただきました。

心配だったお天気も味方してくれて、とてもラッキーでした。

でも何にも増して一番感謝しなくてはならないのは、

カヤニカまま

まさに、この人であります。

カヤニカままの存在なくして、私の人生はありません。

糟糠の妻=貧しいときから連れ添って苦労をともにしてきた妻by大辞泉

そう、まさに、それ。

皆さん、なかなか信じて下さらないのですが、

私どもはその昔、かなり厳しい環境下での結婚を強行した結果、

完全に自立する以外の道は残されておらず、

経済的にはそうとう切羽詰まっていたのです。

「日本人として初めてウィーン国立音大ピアノ専攻科の講師に抜擢された」

とはいうものの、実態は「えっ?」と驚くほどの安月給。

正にその日暮らしの自転車操業でした。

日本からウィーン旅行に来る知人の知人が

「今井先生にお願いすれば大丈夫」と入れ知恵されて

「オペラのチケット、買っておいて下さい」と頼んでくるのですが

「買っておいて、はいいけど、資金はどうするよ〜」

というわけ。

「今井というのがウィーンにいるから」と紹介してくれた

知り合いのメンツをつぶすわけにもいかないですからね、
「前金でお願いします」とは言えません。

友人が「泊めてくれ〜」と頼ってきても

「おそらく何とかなるだろう」

と神を信じるしかありません。
ま、若かったからできたことでしょう。

でも、カヤニカままは常に明るく笑顔で、毎日を乗り切ってくれました。

そしてそれから30年。

今でも、ここぞ、という時にはあの小さい身体で

「うんしょっ」

と支えてくれます。

今回のコンサートもそうでした。

たくさんのわがままを言い続けてきたかやにかパパとしては、

面と向かって「ありがとう」とはなかなか言えないのですが、

そう思ってます。ほんとです。

「ありがとう」と「ごめんなさい」を言えないやつは人間の屑だっ!

とはカヤニカままの口癖で、

私はそれを聞かされるたびに心がズキ〜ンと痛みます。

でも、実はね、と〜〜っても感謝してるし、

カヤニカままがいないところではこっそり

「ゴメンしてね」

とつぶやいているのだぞ。

というわけで、コンサートがどうだった、というのは別にして、

この場をお借りして表明したいと思います。

カヤニカまま、ほんとにありがとう!

はやく疲れを癒して、元気に長生きして下さい!

もっとぐっすり寝て下さい。

食べたいもの、我慢せずに何でも食べて下さい。
買いたいもの、何でも遠慮せず買って下さい。

心から感謝しています!

ありがとう!

danke.jpg

このお花、受け取って下さい! (終演後、会場ロビーにて)

 

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