スタッカートあれこれ

  • 2014.05.24 Saturday
  • 17:04

職業柄、日本各地で公開講座の講師を担当しています。
先日もそんな講座のひとつがありました。


DSC_1202.jpg

詳細はこちら↓
http://www.piano.or.jp/seminar/news/2014/05/02_17892.html

いつも最後に「何か質問はありませんか?」という声がけをするのですが、
その場で質問が出るとは限りません。

受講生の立場としては、
「しばらくたってから不安になった」
ということもよくあること。

そんな時のために、
最近では質問用メールアドレスを準備して、受講生に公開しています。
時間がたっても質問できる「生涯無料サポートサービス」ですね。

そこに質問が来ました。

ちょっと専門的な話になってしまうのですが、
とても大切なことですので、まとめておきましょう。
いつもみたいな「毒にも薬にもならぬ話」ではない「まじめなお勉強」の話題ですぞ。
少々専門用語がまじってしまいますが「なるべくわかりやすく」を心がけます!

【受講者からの質問】
古典派の作曲家の楔形のスタッカート記号は、「鋭く切る」 ではなく 「強調する」「状況によっては長めに保つ」指示であるとおっしゃっていましたが、ハイドンでも同じように考えてよいのでしょうか? Hob.XVI:49のソナタの1楽章を高校生にレッスンしているのですが、もしかして弾き方が違うのではないかと迷っています。

【かやにかパパからの補足】
「スタッカート記号」というのは音符の上や下につけられている点のような記号ですが、大きさに2種類あり、大きいサイズのものは縦線や縦型のくさびのような形をしています。
Hob.以下の数字は作品番号と呼ばれるものです。これによって作品が特定されます。作曲家によって名前や整理方法が異なりますが、ハイドンでは多くの場合、ホーボーケンという音楽学者が整理した番号が使われます。詳細は割愛しますが「ほーぼーけんじゅうろくのよんじゅうきゅうのそなた」と発音してください。


【かやにかパパの回答】
ご質問の縦長のスタッカートはまさに「アクセント」を意味し、「するどく、短く」ではありません。これがハイドンの時代のウィーン・オーストリア・南ドイツで一般的だった解釈なのです。縦長のスタッカートは現代の記譜習慣では「するどいスタッカート」で間違いないのですが、古典派の時代には別の意味を持っていました。

題材になっているソナタ冒頭のものは、長さはおよそ16分音符ぐらいに、テヌートのような圧力をかけてしっかりと弾きます。弦楽器だったらすべてをダウンボー(下げ弓)で弾くような感じです。

23小節にあるものは、アクセントと言うよりは「その音を大切に意識する」といった感じになります。「短く」という感覚はほとんどありません。
Haydn49-2.jpg
 

31、32小節や38、39小節の左手4分音符にあるものは、「ちょっとビブラートをかける」みたいな表情だと思います。
Haydn49-3.jpg
Haydn49-4.jpg


スタッカート記号には「何か表情をつけてほしい」という願いがこめられていると思って、その都度どのような表現方法が一番良いか捜して下さい。スタッカートがついているからこそ、テヌートのように弾くと良い場合もあります。画一的に「短く」とならないように!

このように「アクセント」としても使われるスタッカート記号ですが、だからといってすべてを同じように大きく、無表情に並べるのではありません。ちゃんと歌わせて美しいメロディーにして下さい。何も記号がつけられていない音符より「もっと意識して輪郭をはっきり、きちんと音を響かせる」ととらえると良いと思います。

【解説】
「スタッカートはどう弾くの?」と聞くと、
ふつうは「短く切る」「跳ねるように弾く」という答えが返ってきます。
スタッカートの語呂にも「タッタッタッ」と跳ねるようなイメージがあるのかも。

間違いではありません。
そうなる場合もあります。
でも、それだけではないのです。

「スタッカート」というイタリア語は
「分離している」という意味の形容詞です。
「短く」ではありません。

でも音と音の間に隙間を確保するためには、個々の音符を短くことになりますね

この記号、バロック時代や古典派の時代には 別の用法でも使われていました。
「その音符をはっきり弾いてほしい」という「強調の指示」なのです。
とりわけ、上述の「縦線」や「くさび形」の記号はその意味合いが大きいです。

神童モーツァルトのお父さん、レオポルト・モーツァルトが書いた本を紐解いてみましょう。
Violinschule.jpg
作曲家はひとつひとつの音にはっきりと強いアクセントをつけて弾いてほしいと思うとき、しばしば音符に小さな棒(縦線)をつける。(レオポルト・モーツァルト『ヴァイオリン奏法』)

ほらね。

奥が深いです。 他にもいろいろありますよ〜。
このブログでもそのうち少しずつ紹介していきましょう。
なるべくやさしく解説します。

さらに深く知りたい方は私の講座を受講して下さ〜い!

【事後談】
質問者よりメールが届きました。

縦長スタッカートのハイドンの時代の記譜法について、すっきりと致しました。先生の具体的なご指摘をもとにもう一度楽譜を見直すと、いろいろと表情が見えてくるような気がします。

めでたし、めでたし〜!

 
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