デジピとアコピ

  • 2015.11.08 Sunday
  • 09:22


電子ピアノを考える
 
というタイトルのシンポジウムが開催されました。
主催は全日本ピアノ指導者協会──ピアノの先生の団体です。
 

flyer.jpg

昨今、何事も電気が助けてくれるようになりました。
電気がなかったら、生活、成り立ちません。

ご飯だって、電気釜。
掃除も掃除機、洗濯も洗濯機、
電気仕掛けの器具の助けなしでは、すべてが非効率です。
 
そんな「デンキのチカラ」は音楽の世界にも波及しています。
 
音楽を鑑賞するためにデンキのチカラが必要なのは当たり前になりましたが、
演奏のための楽器も刻々と変化しているのです。
 
これを「進化」と呼んでいいのかどうかはわかりません。
昔ながらの楽器は、やっぱりすごいです。
でも、新しい電気仕掛けの楽器も便利です。
 
ピアノも、電気仕掛けで音が出るようになりました。
電子ピアノ、デジタルピアノといった名前で呼ばれています。
ピアノの形をしていない、キーボード、シンセサイザーといったものも
コンセプトは同じ「親戚」です。
 
それに対して、昔ながらのピアノを呼ぶ際に
 
生ピアノ(なまぴあの)
 

という言葉を使うことがあります。
 
便利です。わかりやすいです。
でも私は大嫌いな言葉です。
 
なぜって、品位に欠けるから。
アーティストが口にする言葉ではありませんっ
 
私は「生ピアニスト」と呼ばれたくありません。
「ウィーン国立音楽大学の生ピアノ科で勉強しました」というのもいやです。
「現在は音大で生ピアノを教えています」というのもキモイ。
 
で、ここでは「アコースティックピアノ」という名前を使いたいと思います。
タイトルにある「デジピ」はデジタルピアノ、つまり電子ピアノのこと。
「アコピ」とは普通のピアノ、アコースティックピアノです。
 
さて、このデジタルピアノの性能ですが、あなどれません。
便利、楽しい、メインテナンスフリー、といったポイントでは
アコースティックピアノより上かも知れません。

ピアノ以外の音も出るし、リズムも奏でてくれます。
調律もいらない。
ヘッドフォンを使えば深夜早朝でも自由に演奏できます。
 
私自身は「電気で音が出る疑似ピアノ」というよりは
 
すでにひとつの成熟した楽器として評価しても良いのではないか

と思っています。
 
私も持ち運びができるタイプをゲットしました。


during.jpg
これが愛器です。背後にあるのが運搬用のケース。こんなマイクも接続できるので、講座などにはとても便利。
ぬか味噌が腐るのを厭わなければ、弾き歌いも簡単です。

 
そんなこんなで、「子供にピアノを習わせたい」と思い立った親が子供に買い与える楽器は、
デジタルピアノであることが半分以上になりました。
「ピアノといえば、これのこと」と思っている人も少なくないとか。
 
確かにグランドピアノはもとより、アップライトピアノでも、
昔ながらのアコースティックピアノを入手することは
いろいろな面で敷居が高いです。
 
それに対するデジタルピアノ、見かけは便利そうだし、それなりのモデルを買えば
音もタッチもアコースティックピアノとほとんど変わらないようですが…
 
…やっぱり違います。
それも、ちょっとやそっとの違いではなく、すごく違う、というのが
ピアノの先生ほぼ全員が共有している実感なのです。
 
音に対する感性の育ち方も違うし、テクニックの上達も思うようにはかどらない、
という状況が実際にあり、今回も報告されました。
 
なぜだろう
どうしたらいいんだろう
他の先生たちはどうしているの?

 
ということに触れ、問題点を直視し、悩みを共有するのが、
このシンポジウムの目的でした。


audience.jpg
ステージにはたくさんのデジタルピアノが展示され、試弾もできました。
 
私もパネリストの一員として、
教育者としてよりも演奏家の立場からの発言を。
 
楽器としての評価に賛否両論あるものの、
デジタルピアノの存在は、今や否定することはできません。
「ピアノの代用品」という時代は、もはや過去のこと。
最先端のデジタルピアノの性能はびっくりするほどすごいです。
 
ふだんアコースティックピアノを扱っているピアニストにとって
こうしたデジタルピアノを弾きこなすことは難しくありません。
違和感を感じることはあっても、慣れればOKです。
 
では、デジタルピアノだけで成長してきたピアニストはどうなのでしょう。
プロとして通用するレベルまで到達できるのでしょうか。
 
デジタルピアノだけで練習を積んで、アコースティックピアノを自由闊達に弾きこなす、
そしてショパンコンクールに入賞する、というのは今のところはまだ無理そうに思えます。
 
しかし、デジタルピアノの演奏に特化した
「デジタルピアニスト」の誕生はありえるかも。
もしかするとそんなに遠くない将来、
こちらの方がスターになる時代が到来するかも知れません。
 
あの高性能のデジタルピアノの性能をフルに使い切って演奏されたら、
アコースティックピアノは立ち向かえるか?
 
──そりゃ、昔ながらの「芸術」は不滅です。
耐えて、苦しんで、努力して到達する境地は、
演奏者にとって、また聴衆にとってかけがえのないものでしょう。
でもこれって、すでに250年続いてきました。未来永劫このままか、というと、
どうでしょう…。
 
ビジネスとしても、デジタルピアノが活躍できる場はどんどん広がっていきそうな気がします。
ブライダルの仕事、場所を選ばない気軽なコンサート、
モバイルの楽器を活用した学校訪問、施設訪問などなど。
ピアノがなくてもピアノのコンサートができちゃいます。
調律も必要ないからお手軽です。


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終了後の体験コーナーは大盛況。
 
それはさておき、
シンポジウムの中でおもしろいビジネスモデルが紹介されました。
 
会員制のスポーツジムに似たピアノ教室です。
 
その教室にはデジタルピアノがたくさん並んでいます。
入会すると、その楽器を1時間単位で使えるのです。
ヘッドフォンで弾けるから、複数の人がいる大部屋でも大丈夫。
好きな時に好きなだけ弾ける。
会社の帰りにも寄れるから、家に楽器がなくても大丈夫。
 
それに加えて、インストラクターのアドバイスが受けられるのです。
60分の楽器使用料の中には15分のアドバイス料が含まれていて、
分単位でのアドバイスが受けられます。
ちょっと迷ったら軽くレッスンしてもらって、練習続行。
行き詰まったら、またワンポイントアドバイス。
 
「レッスンに来る」というより
「練習時にきめ細かくアドバイスしてもらう」という感じですね。
スポーツジムで、マシンの正しい使い方を教えてもらいながら自分でトレーニングするのと、
まったく同じスタイルです。
 
いや〜、おもしろい。ユニーク。
興味がある方は「音楽工房ピアスタ」で検索して下さい。







 
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