大修理

  • 2016.01.23 Saturday
  • 22:40

 
プロのピアニストにとって
ピアノは消耗品だと言われます。
そんなにすぐダメになるわけではありませんが、ずっと使い続けていると、
 
メインテナンスに費用をかけるよりは新しい楽器を買った方が安上がり
 
というタイミングがくるのです。

お金のかかる修理には

 
・打弦用のハンマー交換
・弦の張り替え←今回の修理内容
・消音用のダンパーフェルト更新
・鍵盤裏のフェルト交換
・響板の更新

などいろいろあります。
もちろん、お金をつぎ込んで使い続ける、という選択肢もありますが…。

01Titel.jpg
 
わが家の防音スタジオは、恵まれていることにふたつあるのですが、
どちらも所狭しとピアノであふれています。
グランドピアノが4台(!)に、電子ピアノが1台。
内訳は1970年代のドイツ製ピアノが2台、1900年頃のウィーン製のピアノが1台、
1843年製の古楽器が1台、そしてあとは国産の電子キーボードです。
【極秘情報】1843年のオリジナル古楽器(シュトライヒャー)、そのうち手放そうかと考え始めているところです。
修復はもちろんした方が良いのですが、現時点でも演奏可能な状態です。早い者勝ちか??

 

指は手足合わせても20本しかないのに、こんなにピアノがあってもねえ…。
 
今回、そのうち1台の弦を張り替えてもらうことにしました。
通常は修理用の工房に搬送して作業してもらうことが多いのですが、
今回は私が愛用の楽器のケアとメインテナンスをいつもお願いし、
全幅の信頼を置いているピアノ技術者(調律師)、照沼純氏に依頼して、
自宅で修理してもらうことに。
 
02Terunuma.jpg
作業中の照沼純氏。
 
照沼氏は私がウィーンにいた頃に
ベーゼンドルファーの本社工場で活躍していた超一流の技術者で、
宮仕えにはちょっと不向きなものの、職人気質で腕はピカイチです。
何と言っても

あの時代の音の雰囲気

を共有してくれることが、ありがたい。
これは説明してもわからない、独特な感覚なのです。
 
いや〜、それでも思ったより大変でした。
ピアノのダンパーを取りはずし、張ってある弦を1本ずつはずし、張り直し、
はずしたダンパーを戻し、最終調整を終えるまでにまる4日かかりました。
それでも迅速な方かも知れません。

その後も音律がまだ多少不安定です。
新しい弦が張力によって伸びるのは仕方ありません。
すっかり落ち着くまでには今しばらくかかりそうです。
 
03junbi.jpg
ピアノを移動する準備をします。

04transport.jpg
グランドピアノは横にして脚をはずしてから動かすのです。

05nude.jpg
古い弦をすべて撤去しました。

06strings.jpg
はずした鋼鉄製の弦の山。すべて廃棄です。

07start.jpg
高音セクションから手作業で1本ずつ張っていきます。

08weiter.jpg
だいぶ張れました。

09setup.jpg
ようやく張り終え、ダンパーのセットアップ開始です。

でも新品の弦は響きも若々しくはつらつとしているような気がして、
思う存分弾ける日が来るのが、とても楽しみです。
 
修理中には私の教え子の松田ゆかりさんも見学に来ました。
彼女は演奏家として私のクラス(大学院)を修了した後に結婚し、
結婚したと思ったら
海外青年協力隊の一員として
単身でモルジブに2年間音楽教師として赴任したという、ユニークな人です。
 
10duet.jpg
松田さんと照沼氏。照沼氏は見た目ほどのおじいさんではありません。まだ私と同じ60代。
 
現地の教室にはアップライトピアノが1台だけあったものの、壊れていて使えなかったそうです。

ピアノの先生だし、日本人なんだから日本のメーカーのピアノぐらい直せるだろう

と言われても、無理。お手上げ。
授業そのものは電子ピアノで行うのですが、響きの魅力は比べようがありません。
 
本物のピアノの魅力を伝えたい!
そのためには自分でピアノの調律や修理をできるようにならないと

 
と痛感し、帰国後それまでの人生を一気に転換して、
今はピアノ技術者になるべく修行を積んでいるところです。
 
私のピアノもちょっと調律してもらったのですが、なかなかよろしい。
修行は順調に実を結んでいるように見受けられました。
 
11matsuda.jpg
松田さん。調律の手つきはもう押しも押されぬプロ級です。
 
最近テレビや新聞などで
 
中古のピアノを売ってください
 
というコマーシャルを見かけます。
こうして集められた楽器は発展途上国などにも輸出されるのでしょうが、
単に楽器だけ送り出しても調律や修理をできる人がいなければ、単なる宝の持ち腐れ。
 
松田さんは

そんなことがあってはならない
一人でも多くの人にピアノの魅力を知ってもらいたい
ピアノがあるなら、それを使える状態に保ちたい


と、大きな夢に向かって頑張っている、すてきな女性です。
 
輝いてます!
応援しています!

若い、っていいなあ!





 
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