シニア世代に教える最高のピアノレッスン法(ヤマハミュージックメディア)

  • 2015.01.29 Thursday
  • 21:44


本吉ひろみ『シニア世代に教える最高のピアノレッスン法』(ヤマハミュージックメディア、2013)

 
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自分自身も還暦を迎えてみて「何か変わったか」と問われれば、「特に何も…」としか答えようがない。体力的にはその限りではないが、何とか持ちこたえている。気持ちは若いときと同じだ。「二十代と変わらない」と言って語弊があるならば、「四十代以降はほとんど変化なし」としておこう。
 
「そうか、もうそんな年になったか」と感じるとすれば、それは区役所から月4回無料で銭湯に入れる「ふれあい入浴証──ゆげじい」なるものを頂戴したからかも知れない。しかし還暦が人生のひとつの区切りであることは確実で、その心情は昨年108日のブログで告白したとおりである。
 
「区切り」は「新たなスタート」を意味する。新しい事を始めるのにまたとないチャンスに違いない。「60歳になったのを機会に、ピアノを始めてみよう」と考えるのも、前向きですてきなアイデアだ。
 
その気になれば「ピアノ教室」はすぐ見つかる。大手の楽器店が展開している全国規模のピアノ教室チェーンもあるし、個人の先生が開講しているピアノ教室も枚挙にいとまがない。こうしたピアノ教室は子供の習い事の受け皿として人気を博していたが、最近はシニア層も「経営のための大切なお客さま」として歓迎されている。しかしシニア層に特化した指導法として開発すべき課題は山積しているようだ。まだまだ詰めが甘い。
 
昭和の子供たちは「右にならえ」式にピアノを学ぶことが多かった。高度成長期にはピアノもよく売れ、メーカーも楽器店も羽振りがよかった。しかしそれはすでに昔話である。少子化の問題もあるし、「夢でメシは食えない」という現実も切実だ。世の中も「辛抱強く何年もかけないと上達しないものは敬遠される」という風潮になった。
 
一方、世の音楽大学や専門学校は懲りることなく毎年少なく見積もって数千人、おそらくは万単位の数の卒業生を世に送り出している。全員が音楽で身を立てるわけではないのは当然だが、「ピアノ教室の先生になる」というのは、身近な選択肢のひとつだ。よくあるパターンは「大手の楽器店が展開しているピアノ教室の講師になる」というもの。しかし、これは思ったより厳しい労働環境のもとにある。
 
であれば──恵まれていれば、の話だが──自宅でピアノを教える、あるいは自分で教室を立ち上げる、という手がある。しかしピアノ教室の看板を出しても、生徒が集まらなくては経営が成り立たない。星の数ほどある教室の中で頭角を現し、少しでも多くの生徒を集めるには、アピールできるセールスポイントが必要だ。というわけで、「子供だけをターゲットにするのではなく、シニア層をもとりこもう」というのが最近のトレンドになっているのだ。
 
子供たちも独立して孫も生まれ、「お金に困っていない」「時間はたっぷりある」「自宅にピアノがある」というシニアは少なくない。贅沢はできないながらもある程度の年金は貰えているし、その昔「みんなも持っているならば」と子供に買い与えたピアノが、久しく使われないまま鎮座しているケースがかなりある。
 
街のピアノの先生にとって、見過ごしてはならないターゲットだ。だが本気でシニア層の指導をめざそうとしても、シニア層向けの音楽教育の歴史が浅いだけに、わからないことも多い。昔ピアノを習ったことのある人ならばともかく、音符の読み方から教えなければならない正真正銘の──それも記銘力が衰えつつある──初心者の指導は、そう簡単ではない。子供の初心者用教材はどれを選んで良いかわからないほどたくさんあるが、それらを年配の生徒にそのまま流用できるわけではない。子供には嬉しいディズニーのキャラクターが印刷されていても、それで大人の意欲が高揚するわけではないからだ。
 
身体の機能として何ができる、何ができない、ということも、若年層とシニアとでは大きな差がある。シニア層のメリットは「説明は理解できる」ということだが、理解したとおりに身体が動くわけではない。右手と左手で違うことを同時にやるのが困難なのは誰でも同じだが、年配者はそれを克服するのに想像以上の時間を必要とする。「何が喜びか」という点でも、シニア層の感性は千差万別だ。
 
著者の本吉ひろみは「60歳以上で初めてピアノを習う人」に特化した教室を立ち上げ、すばらしい成果を得ている。「シニア層の指導にはグループレッスンがお薦め」というのも、経験者であればこその提言だ。本書にはそういう人たちを指導する際に役立つさまざまなアイデアが紹介されているが、それらは単なる思いつきではなく、医学的な考察や、各種の統計から読み取れるデータをふまえた、科学的な根拠に基づいたものとなっている。加齢に由来するもどかしさ、体力や記憶力の衰え、老眼の問題などなど、そこには「シニアならでは」の課題がたくさんある。「シニアを指導する」という専門性を真摯に直視し、工夫をしなければ、教室も発展しない。
 
余談ながら、実際のデータを眺めていると、つい「これって、私のことだよね」と、不安と焦燥に駆られてしまう。「ソロ活動に再チャレンジするぞ」と宣言してしまった今、う〜む、と考え込んでしまいそうだ。
 
…それは単なる私情としても、「シニア層の希望をふくらませ、日々の時間を充実させるための適切な指導」には大きなビジネスチャンスがありそうだ。ビジネスから切り離した一般的なカルチャーとしても、大変有意義なことのように思われる。
 
ところで、シニアを指導するにはやはり指導者もそれなりの年齢であるべきだろうか? 自身の「大人のスイミングスクール体験」から、私としては先生が若くても特に問題ないように思うのだが…。要は「教え方」にある。




 
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ウアラウプ

  • 2015.01.12 Monday
  • 07:52


URLAUB(ウアラウプ)。
「バカンス」を意味するドイツ語です。
日常会話にもしょっちゅう出てくる大切な単語です。

ヨーロッパの人々が毎年長期にわたるバカンスを楽しんでいることには
すでにお聞き及びのことと思います。
一ヶ月の休暇なんてざらで、もっと長く休む人も珍しくありません。
旅行が目的ではなく、「何もしない」が目的なのです。
別荘を持っていれば別ですが、一般的にはホテル逗留が基本なので
仕事しない」「ご飯作らない」「掃除しない」毎日が続きます。
 
もちろん、それなりにお金もかかります。
でもヨーロッパの人たちは
 
働くのはバカンスの費用を捻出するため
 
という意識が強いです。
贅沢はできないながら、老後は何とか年金でまかなえる、という
充実した社会保障制度のお陰ですね。
日本はまだこれからです。
 
ヨーロッパの一般庶民にとっての「夢のリゾート」は、ハワイなのだそうです。
なぜなら、ヨーロッパから見ると地球の裏側にある土地だから。
遠いといっても、南アメリカのペルーなどは別格のようです…。
 
さて、こうしたバカンス旅行の基本は
 
同じところに長逗留する
 
というもの。
ホテルを変えながら忙しく名所旧跡を訪ね歩くのではなく、
ただただ何もせずに、のんびりと過ごすのです。
だから、日本流の海外ツアースケジュールなどはもってのほか。
 
目が醒めたら起きる。
本を読む。
何もしない。
美味しいものをたっぷり食べて昼寝する。
ちょっと散歩する。
くたびれたら、寝る。

 
こうした毎日がずっと続きます。
曜日の感覚はまったくなし。
家庭の主婦は日常の家事から解放されて
 
ごはんも作らない、片付けも必要ない
 
という極楽の毎日となります。
一家の主人は
 
仕事のことはすべて先送り。何も考えなくて良い
 
という状態になります。
休暇中はよっぽどのことでなければ
 
ただいま休暇中です
 

のひと言ですべてを回避。
会社の同僚もこのように対処してくれます。
ビジネスパートナーも、みなお互い様ですから
これで何の問題もありません。
 
かやにかパパとカヤニカままも、
こうしたヨーロッパタイプのバカンスが大好きです。
「たまの旅行だから」と
あちこち忙しく見て回るのは好みではありません。
各地の名所旧跡は車の窓から
 
見た
 
で、終わらせてしまうことがほとんどです。
車から降りるのさえめんどう。
離れた駐車場から歩くなんて、考えたくありません。
 
そんなカヤニカコタ家ですが、
日本国内でヨーロッパ式休暇を楽しむ経験を蓄積しています。
 
狭い日本社会で「一ヶ月行方不明になる」ことは不可能ですので、
せめて数日、できれば一週間。
将来的にはもっと長くしたいです。
ただし「ワンコと一緒の家族水入らず」が最低条件。
 
以前のブログでも触れたワンコ同宿可のリゾートクラブを利用して、
山中湖、河口湖、強羅、軽井沢、苗場など、
自分で車を運転して簡単に行けるところをターゲットにしています。
 
観光地で外食するとお金がかかるので、食料、飲料はすべて持ち込み。
 
「どこそこの何が美味しい」と聞いたところで
「車で行くんじゃ、お酒飲めないね」と何の未練もなく即却下。
美味しいものをゆっくりお酒とともに楽しむのが
カヤニカコタ家のスタンダードなのです。
 
その「美味しいもの」は、すべてカヤニカままの手作りです。
大量のワインやビールとともに、持参します。
朝のコーヒーや食材も、美味しいドイツパンやお気に入りのチーズももちろん持ち込み。
ホテルの部屋にはキッチンがあって、小型ながら冷凍冷蔵庫も完備しています。


room.jpg
居室です。右奥はバスルーム。手前は畳で万年床を敷きっぱなし。窓のところに3ワンコがいますよ〜。
窓の外、真っ正面が富士山です。でも残念ながらゴルフ場の木が邪魔してちょっとしか見えません…。


炊飯器は貸してもらえます。カセットコンロや土鍋も借りました。
慣れてきたカヤニカままは、エプロンやキッチンタイマー、炊事用手袋ばかりか、
各種の調味料まで持参するようになりました。



鏡餅を割って、七草粥を作りました。お米はもちろん持ち込みです。土鍋は借り物。
 
お金をかけて外食するより、自炊の方がずっと気楽でリラックスできる
 
のだそうです。

ありがとう、カヤニカまま!

よいヨメをもらいました。世界一です!
事情あってほぼ駆け落ち結婚でしたが、悔いはなし*。
 *ヨメとしてはその限りではないそうです。大いに後悔しているとのこと。う〜む…。
なお、カヤニカままの料理の手腕はワンコ用ごはんのブログを参照してください。
人間用は推して知るべし。
 
カヤニカコタのレシピ集
 
今回は河口湖の近くの宿に5泊しました。
外出したのは
 
★せっかくだから富士山を眺めよう
★おいしい蕎麦と岩魚が食べたい

 
の2回だけ。


fuji.jpg
天下茶屋からの絶景です。富士山と河口湖。太宰治も絶賛した眺めだそうです。

soba.jpg iwana.jpg
忍野八海は池本茶屋で食べたとろろ蕎麦と岩魚。ふふふふ〜、美味!

つまり、滞在中の外食は、往路御殿場アウトレットでの回転寿司以外はただ1食のみ。
あとはお宿に籠もっていました。
 
私はたまたま翻訳の仕事を抱えていたので、それに専念。


work.jpg
バカンス中に仕事するのはルール違反ではあるのですが…。ダイニングホール独り占め。
 
カヤニカままは「のんびり」が課題です。
iPadでの読書に加え、すでにアンティークっぽい(15年以上前の製品?)超音波美顔器と大袋のフェイスパックを持参して暇つぶしに励みました。
 
宿にはちょっとした温泉大浴場もあるので
朝6時と午後3時は温泉タイム。
平日の連泊だったので運さえ良ければ「温泉とサウナ独り占め」もしばしば。
 
いや〜、のんびりできました。
もっと長く滞在したいです。

早寝、早起き、温泉、ごはんと晩酌、あとはぼんやり。
前もっての予定は何も決めない。
酔っ払ったら、寝る。

 消灯時間は9時頃かなあ…。8時の時もありました。
目が醒めたら、起きる。
 ただし、かなり早朝。外はまだ暗いです。
 
バカになってしまいそう〜
 
でもね、これが最高なんですよ。

勤勉なる日本国民の一員として、普通ではないのかなあ…。




 
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