終わっちゃいました…

  • 2017.03.19 Sunday
  • 01:39

 

 

3月8日水曜日夜7時。

約2年ぶりの自主企画のリサイタルでした。

私の大好きなシューベルトだけで勝負。

やはりシューベルトを話題にしたトークコーナーを挟んで、

2曲のピアノソナタを演奏しました。

 

Konzert2.jpg

開演直前の緊張に満ちた瞬間です。

 

本当は週末、できれば土曜午後のコンサートにしたかったのです。

私を支えて下さるファンの多くは、私同様もうあまりお若くありません。

コンサート終演後の時間帯は電車も混んでいて、おまけに酒臭く、

爽やかな雰囲気でないのはご存じの通りです。

 

午後のコンサートにすれば、終演後にお洒落な食事でも楽しんで、

その日を優雅に締めくくっていただけるかも、

というのが私の願いでもあるのです。

 

今回は残念ながら平日にしか、ホールがとれませんでした。

それも、よりによってカヤニカままの記念すべき誕生日に…。

 

せっかくの誕生日なのだから、私が心を込めて奏でる音楽で祝ったげる!

 

と水を向けても、鼻にもかけてくれません。

 

どこがめでたいんだ。きついだけじゃないか。

普通だったらこじゃれたレストランでご馳走してもらえたのに

あ〜あ〜、わたしゃとんだ貧乏くじをひいたね。

一生に一度の特別誕生日がこんな日と重なるなんて…。

 

…気持ちはとてもよくわかります。

ごめんなさい、のココロでいっぱいです。

できることは、ただひとつ。

 

ぜったいに失敗しないこと。

ぜったいにこけないこと。

今までで最高の演奏をめざすこと。

 

高いハードルです。

でも、自分のためにも、カヤニカままのためにも、

挑戦することにしました。

それが演奏家のつとめです。

 

Probe3.jpg Probe2.jpg

リハーサル中。横縞のシャツでもヨコシマな心は排除!

 

自分が弾くんじゃないんだから、放っておけばいいじゃん

 

という安易な考えはカヤニカままの脳裏にはありません。

本来は私が抱えるべきストレスを、なぜか一手に引き受けてしまうのが

カヤニカままの“さが”であり、優しさなのです!

 

そうして選んだ2曲のソナタ。

休憩後のイ長調の大ソナタ(D959)は若い頃から暖めているレパートリーですが、

冒頭の変ホ長調ソナタ(D568)はこのコンサートのためにとりあげた新曲です。

 

Probe1.jpg

本番の衣装でリハーサル中。

 

ピアニストというと旅ガラスのようなもので

色々な国、さまざまな街を渡り歩き、コンサートにあけくれる、

というイメージがありますよね。

私も若い頃はそんな

 

コンサートに追われる生活

 

を夢見たことがあります。

でも、実現しませんでした。

そこそこ「コンサートに追われていた」時期もありました。

その昔にヤマハの協力を得て、ピアニストの宿命である

 

毎回違う楽器で演奏しなければならない

 

という悩みを一気に霧散させてくれる

 

マイピアノと専属調律師をたずさえての大名コンサートツアー

 

を経験させてもらったこともあります。

1984年、その頃はまだ“共産圏”だったハンガリーでのツアーでした。でも

 

いつも同じ楽器だから、安心だ〜

 

という予測は、まったくの的はずれに終わりました。

この町から隣町へ、と陸路トラックで楽器を運ぶわけで、

湿度や温度、そして運搬の振動など、急激な環境の変化にさらされるピアノは

 

これが同じ楽器とは思えない

 

ぐらいコンディションが激変します。

ツアーでは1日おきぐらいのペースでコンサートが続きます。

すると、3〜4回目ぐらいからは妙に場慣れしてきて、

「ステージで演奏する」こと自体への恐怖感や緊張感は限りなく減少します。

逆に、

 

どうやって高揚感を盛りたてるか

 

ということが課題になるのです。

経験してみて初めてわかること、ってたくさんありますよね。

 

それに対して、今回私が企画したような「久々のリサイタル」では

「どうしてくれよう、助けてくれ〜」というぐらいの緊張感が生じます。

メンタルの勉強をするようになってから、ずっと楽にはなりましたが…。

 

でも、その緊張感を楽しむのも、演奏家の冥利である、と感じるのです。

 

この緊張のもとで自分にはどこまでできるのだろうか

 

というのも、大きなチャレンジです。

 

「この日」と定めた、変更不可の目標に向かって

考えられる限りの努力を惜しまず注ぎこんでいく

 

というプロセスも、これまた楽し。

毎日が充実します。

 

でも、これはカヤニカままには重圧以外の何ものでもありません。

自宅に受験生がいるのと似たような状況ですからね。

私がリサイタルをやると、かわいそうに、毎回身体をこわします。

 

おまえが弾くんじゃないから何も心配する必要ないじゃ〜ん

 

となだめても、もろもろの心配を一手に背負い込み、

あえいでしまうのがカヤニカまま。

食も細くなって、さらに痩せてしまいます。

 

現実として、カヤニカままのサポートなくては

私がいつもやっているようなコンサートの開催は不可能です。

郵便物の処理、チケットの管理、送り状への添え書き、当日会場での気配り、

頂戴した花束の世話やプレゼントの仕分け(どなたからかの整理→お礼状のために必要)、

そして、そして、そして…。

 

若いときは頑張れたけれど、今回を経験して、もう次回は無理だと思う…

 

という切実なつぶやきが聞こえてきました。

何か考えて、負担を軽減してあげなければ、次回は寝込んでしまうかも、です…。

 

そうして迎えた本番の日。

 

天候にも恵まれました。

とてもたくさんの方々にご来場いただきました。

ありがとうございます。

 

Konzert.jpg

本番、無事終わりました!

 

演奏は、自分で言うのも何ですが

思ったより雑念少なく、自分の音楽を追えていたと思います。

とりわけ今回「こうしたい」と思っていた抑揚やリズムの表現も、

前回よりしっかりできたように感じています。

 

ご来場いただいたお客さまにも喜んでいただけて、

ほんとうに嬉しい思いをさせていただきました。

拍手を浴びていると、すごく、すごく幸せな気持ちになります。

 

あとは、少しでもカヤニカままの気力が戻るといいのですが…。

 

 

 

 

 

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